【プロンプトあり・POC手順つき】会議事録からJira課題を自動起票する方法|Workato×VertexAI活用
2026年03月06日(2026年03月27日 更新)
AI・DX室 dx
この記事でわかること
- 会議の Jira課題を、議事録から AIで自動起票するワークフロー
- 不要なチケットを作らないための課題抽出条件(発散・不満の除外)
- 実際に使っている プロンプト全文(JSON出力)
- PoCの手順 と評価指標
会議が終わったあと、「これ誰がやるんだっけ?」が曖昧なまま、宿題だけが増えていく----そんな場面は珍しくありません。
その結果、会議で合意した"やること"がところどころ消え、実行スピードが落ちます。
本記事では、企業の DX担当を任されているエンジニア向けに、オンライン会議の議事録(文字起こし)から生成AIで課題を抽出し、Jiraチケットを Workatoで自動作成する方法を紹介します。
ポイントは、AIに任せきりにしないこと。特に、会議が発散した場合や、個人の感想・不満が"会社の課題"として起票される事故を防ぐために、「厳格な抽出条件(プロンプト)」も公開します。
Jira起票の自動化で得られるメリット
リックソフトの AI・DX室は様々な部署から課題をヒアリングして、運用改善や社内のAI活用を推進しています。
一部の部署で、"会議で出た課題を管理するために「Jiraを使いたいが、ミーティングのたびに会議内容を整理して議題チケットを作成、管理するのを運用にうまく乗せられない」"という状態が続いていました。
「オンライン会議ツール(GoogleMeet、Zoom、Loom)を使えば、自動で MTGの文字起こし(Transcript)が実施されます。文字起こし全文を生成AIに投げて Jiraチケットの作成までできれば、以下のような効果があるのでは?」という仮説から検証を開始しました。
Jira自動起票のメリット1) 起票工数を減らし、実行への接続を速くする
会議後の「まとめ→整形→起票」は後回しになりがちです。自動起票で"最初の一歩"を軽くし、決まったことが実行へ流れやすくなります。
Jira自動起票のメリット2) "課題認識のバイアス"を薄める
会議では立場や心理的安全性により、同じ発言でも扱われ方が変わります。
特に部下が上司に対して「それは論点が曖昧です」と指摘しにくいことがあります。
AIに客観的な言葉で整理させることで、感情や力関係の影響を一段薄められます。
Jira自動起票のメリット3) ルールを磨くほど、会議参加者の視点が揃う(会議の質が上がる)
起票ルールを運用しながらブラッシュアップしていくと、参加者が「これは課題として成立するか?」という視点を持って会議に臨むようになります。
結果として、会議の発散が減り、意思決定が前に進みやすくなります。
議事録→AI→Jira起票自動化のフロー
- 会議を文字起こし(議事録化)する。どんなツールでもOK。
- 文字起こしテキストを所定の場所にコピペする
a. Workatoでトリガーイベントをキャッチできるドキュメントツールであれば何でもOK。リックソフトでは Confluenceを利用しています。
b. Confluenceページには「起票する Jiraのプロジェクトと Issueタイプの指定」、「チケット作成後の通知先SlackチャンネルID」も一緒に記載して、Webhookで Workatoに情報を渡しています。
- Workatoがトリガーを検知して処理を開始(Confluenceのページラベルを付与したことをトリガーにして Workatoで Webhookを受信している)
- 生成AIが議事録から課題を抽出し、Jira起票用に整形(Workatoのレシピ内で VertexAIを利用)
- Jiraチケットを自動作成
- 作成後に Slackチャンネルに通知

MTG議事録から Jira起票を行うフロー図

文字起こしを貼り付けている Confluenceページ

Jira課題が作成された時の Slack通知画面
最重要:会議が発散した時に「課題として起票しない」
自動起票の最大リスクは、次の2つが"会社の課題"としてチケット化されることです。
- 会議が発散した結果の"論点メモ"(結論が出ていない、スケジュールがない、理想論)
- 個人の感想・不満(主観)が、あたかも組織課題のように見えてしまうもの
これを防ぐには、AIに「何をやるか」だけでなく、「何をやらないか」を明文化した"ガードレール"が必要です。
そこで、実際の運用で使っているプロンプトをそのまま公開します。
【プロンプト公開】実際に使っている指示(厳格条件+起票ルール+JSON出力)
以下が、「議事録からやるべきことを課題化して起票する」エージェントのプロンプトです。
(先ほどのフロー図で赤い点線で囲ってある部分の箇所にあたります)
ポイントは 「3条件すべてを満たすものだけ」「疑わしいなら除外」 です。
【重要:課題抽出の厳格な条件】
以下の3つすべてを満たすものだけを抽出してください。1つでも疑わしい場合は除外してください。
- 具体的かつ解決可能であること
- 「何が決まっていないか」「何が業務を止めているか」を客観的に説明できる。
- 【除外】:特定のツールや既存フローへの個人的な不満・愚痴、単なる「使いにくい」といった主観的な文句。
- 【除外】:自社でコントロール不能な外部要因(プラットフォーム側の仕様変更の懸念など)に対する不安。
- 部署・チーム全体の組織課題であること
- 特定の個人のスキル不足ではなく、仕組み、ルール、システム設定の欠如に起因するもの。
- 名前を伏せても「組織のボトルネック」として成立する内容。
- 直近で意思決定・着手される前提があること
- 「いつかやりたい」「本来こうあるべき」といった理想論や、議論が発散したまま結論が出ていないものは除外する。
- 会議内で、マネージャーや担当者が「今後対応する」と明確に判断・合意したもののみを対象とする。
【起票ルール】
- 同じタイトルの課題を重複して作成しないこと。
- 解決策やToDoは書かない。 あくまで「解決すべき課題(状態)」を記述する。
- 1課題カテゴリーを「親Jiraチケット」1件と想定し、関連する具体的な課題を「サブ課題」として構造化する。
- 親Jiraチケットは大きな課題カテゴリーとして、起票件数が少なくなるように集約する。
- 条件を満たす課題が1件もない場合は、issues配列を空にする。
【出力形式】
- 以下のJSON形式のみで出力してください。JSON以外の文章・説明・補足は一切出力しないでください。
{
"issues": [
{
"title": "課題のタイトル(30文字以内)",
"current_problem": "現在起きている課題を客観的・具体的に説明",
"business_impact": "この課題を解決することで得られる組織的メリット(生産性、収益、品質など)",
"reason_for_ticket": "起票理由の①具体性、②組織課題、③直近の意思決定の3点をそれぞれ明記",
"sub_issues": [
{
"title": "サブ課題のタイトル",
"current_problem": "サブ課題の具体的な内容",
"business_impact": "解決によるメリット",
"reason_for_ticket": "起票理由の3点(簡潔に)"
}
]
}
]
}
このプロンプトが"効く"理由(運用目線)
- 疑わしいなら除外:チケット乱造を防ぎ、Jiraの信頼を守る
- 組織課題に限定:個人の不満が"会社の課題"に化けるのを防ぐ
- 直近の意思決定・着手が前提:会議の発散ログを起票しない
- 解決策を書かない:チケットが"結論"ではなく"解くべき状態"になる
- 親+サブ課題:Jira件数を増やさず、構造化して追える
AIに任せきりにしない:人がやるべき行動
自動化で起こり得る問題は、「記載情報が足りない」「自分の意図した内容になっていない」「そもそも記載されていない」です。
AIはあくまでMTG課題管理のサポートとして利用するため、以下の運用を事前に定義しておくことが重要です。
- AIは下書き。最終判断と責任は人が担う。
- 起票されたチケットの人チェック。(誤字脱字修正、表現調整、重複統合、担当者や関係者の設定)
- 足りない課題があれば、次の定例で再度議題に上げる。その場の勢いで勝手に起票されることを防ぎ、条件を満たすものだけ課題化するルールを守る。
使ってみた結果:起票はラクになる。ただし"メンテ前提"が現実的
運用上の結論は次の通りです。運用が回り始めると改善点も見えてきました!
- チケットのメンテは必要だが、ゼロから起票するより遥かに楽
- AIが客観的に抜け漏れなく課題を書いてくれるのは大きい
- 出力が100%安定しないため、人のレビューは必須
展開のしかた:まずは一つの会議体でPoC
全社展開から始めるより、まずは ひとつ会議体 でPoCが安全です。
会議によっては毎回実施する必要がない場合もあります。
PoCの進め方(最短3ステップ)
Step1:対象会議を1つ決める
- 定例で、参加者が固定されている会議が向きます
Step2:起票ルール(プロンプト)を合意する
- 例:「発散は起票しない」「主観は除外」「スケジュールが明確なものだけ」
Step3:2〜4週間回して評価する
- 起票時間(Before/After)
- 起票されたチケットのうち着手につながった割合
- 不要・重複チケット率(=ルールの精度)
- 人のメンテ時間(現実の運用コスト)
まとめ:AIで起票を楽にし、ルールで会議を賢くする
議事録から Jiraへ自動起票することで、会議の宿題が"消えにくく"なります。
ただし成功の鍵は、AIではなく運用です。
今後はチケット作成の重複防止、既存チケットを更新する改善を実施して、社内で活用を広げていく予定です。
AI・DX室 dx
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