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リックソフトブログ

【Team '26】AtlassianとDropbox 2社の事例から読み解くAI活用のヒント

2026年05月25日

やました

ソリューション営業部 セールスエンジニア課

やました yamashita

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私は Atlassian製品のセールスエンジニアという立場上、お客様から「Rovoをどう活用していったらいいのか?」という相談をいただきます。
本記事では、年次カンファレンス「Atlassian Team '26」で聴講した事例セッションから、Atlassian Cloudと AIの活用ヒントを考察したいと思います。

DropboxがLoomを軸にAI時代の「意図的な働き方 (intentional work) 」をどう設計しているかを議論

AIが働き方を再定義するなか、コラボレーションのあり方の重要性はかつてないほど高まっています。 「How Dropbox is designing intentional work in the AI era with Loom (DropboxがLoomと共に AI時代に"意図的な働き方"をデザインする方法)」というタイトルで行われたセッションでは、Atlassian社の Avani Prabhakar氏が、DropboxのAllison Vendt氏と対談し、Dropboxが Loomを軸に AI時代の「意図的な働き方 (intentional work) 」をどう設計しているかを議論しました。

Loomとは?

Atlassianが提供する非同期録画コミュニケーションツールです。
https://www.ricksoft.jp/atlassian/loom/

Jira, Confluence, Atlassian Guard , Rovo のアプリセット「Teamwork Collection」にも内包されています。

Atlassian社 AI利用は「Superuserの定義に達しているか」が指標

まず Atlassian自体が AI利用に対してどのようなアプローチを取っているかという点が議論され、私やリックソフト社内のAI活用においても非常に参考となる話が聞けました。

Rovoを始めとする AIサービス提供側としての Atlassianは、「Customer Zero」アプローチを掲げています。顧客に製品を届ける前に、自社社員が日常的に AIを使い倒すことで、製品リリース前に本物の知見を得る体制を取っているそうです。Atlassian社員の 99% が AIを日常業務で利用 しており、評価軸は「AIを使っているか」から「Superuserの定義に達しているか (高頻度+高度機能の連鎖利用)」へ変更したという説明がありました。
もはや AIは「利用するかどうか」ではなく「いかに使いこなしているか」の時代にとっくに突入しているんだ、という、私が日々感じていることの裏付けがとれた印象でした。

AIは「利用するかどうか」ではなく「いかに使いこなしているか」の時代にとっくに突入している

一方で、Atlassianが業界全体を対象に実施した調査では「84%のエグゼクティブは AIを依然として個人生産性向上のために投資しており、がチームレベルでの AI活用に注力していると答えたのはたった 24%のみ」という結果が明らかになりました。

要は、AIを個人レベルで場当たり的に使用しているのが現状であり、チーム生産性の向上に貢献できるような使い方ができていない、ということではないでしょうか。これは多くの組織の肌感覚とも合致する点だと思います。
この、「チーム生産性の向上」が基本思想として設計されているのがまさに今回の Team '26でフォーカスされていた「Teamwork Graph」なのかなと感じました。

フレームワークと AI Ready

AI活用におけるフレームワークを「タスク/スキル/ロール」の 3層で構成した場合、まずは「タスク (=ワークフロー)」から始めて記録・計測し、スキル定義へつなげ、ロールは実験で見極めましょう、というメッセージがありました。ワークフローを視覚化し、その中で AIが活用できるポイントを探っていく。ここから始めるフレームワークは 2025年のイベントでも Atlassianが提唱していた手法であり、リックソフトでも実践しています。

このフレームワークを実践するための前提条件として、「AI Ready」の体制を整えること。これが重要だとも説いていました。AIの利用にはコンテキスト (文脈) がすごく重要なので、具体的には非同期・ドキュメント文化・コンテキスト層を整えましょうということになります。

既に Atlassian Cloudをご利用になっている皆様でしたらここで「ああ、LoomとConfluence/JiraとTeamwork Graphのこと言ってるな」という風にピンとくると思います。

Dropbox社「Loom活用で 13,000以上のミーティング時間削減」

前述の非同期コミュニケーションの事例として、Atlassianと Dropboxの Loom活用事例が紹介されました。Loomは Teamwork Collectionのいち製品として組み込まれていますので、「Teamwork Collectionを契約したから Loomがついてきちゃったけど、イマイチ使いこなせてない」という方にも是非参考にしていただきたい内容です。

Atlassianでは、Loomは単なる動画ツールではなく、ミーティングを置き換える「非同期インフラ」ととらえ、会議の 30%相当を非同期化しています。Loomの自動文字起こし → Confluenceページ自動生成 → Jiraチケット自動起票という連鎖ワークフローを実例として紹介していました。ちなみにここの「自動文字起こし」については Loomが持つ AI機能がやってくれます。

Dropboxでは、全社員の約半数が Loomで能動的にコンテンツを作成し、「13,000以上のミーティング相当の時間を削減」を実現したということです。また、ファイナンス部門では当初、SOP (標準業務手順書) 自動生成のために新たなツールの導入を検討していたが、Loomで SOP自動生成のための条件を満たせるということがわかったためツールの採用を見送ったということです。この Loomによる SOP自動生成機能も、Loomの AI機能として提供されているものです。
私もこの機能を最初に見たときはその品質の高さに結構驚きました(もちろん、Confluenceと連携します)。

もうひとつ面白い視点だなと思ったのは、リーダーが「軽い社内コミュニケーション」をLoomで投げかけることで、リモート環境特有の「経営層と現場の距離」を埋める効果があったという点です。

この点についてはAtlassianも同意しており、リアル会議では発言が少なく静かなメンバーから、Loomを通じて価値ある示唆が出てきやすくなる、という構造が生まれるという効果もあるそうです。リモートより対面の方が距離が縮まるという論旨で、出社回帰がグローバルレベルで進んでいますが、「こういった側面もあるんだな」と気付かされたポイントではありました。

AI Working Agreementと AI Retroという「明文化された運用ルール」

前段でフレームワークの話をしましたが、いざ実践する時には AIと人間の役割分担を「書き出して合意する」プロセスをチーム単位で行いましょう、という説明がありました。

  • AI Working Agreement: 基本的な運用ルールです。例えば採用チームに対し、「候補者対応のどこで AIを使うか」「データをどこに保存しないか」「コピー&ペーストで持ち込んではいけないデータ範囲」など、利用を推奨する場面・利用してはいけない場面を詳細に明文化します。
  • AI Retro: スプリント/機能リリース後に「どこで AIを使えばよかったか」「どこではAIが機能しなかったか」を振り返り、次のサイクル前に記録する。
  • 効果としては、両プラクティスとも適用チームで 20%程度の効率向上が観測されている。

この明文化については Confluenceが最適かなと思いますが、どちらかというと運用の話なので、それぞれの組織でベストな方法を模索する必要があると思います。

セッションのまとめ

最後に、本セッションの要点をまとめます。

  • Customer Zeroアプローチ:
    AIは「使うかどうか」ではなく「いかに使いこなすか」のフェーズ。Atlassian社員の 99%が日常利用し、評価軸も Superuser基準へ移行。ただし、チームレベルでの活用に注力している組織は 24%にとどまり、個人→チームへの昇華が課題。
  • フレームワークとAI Ready:
    「タスク → スキル → ロール」の順で着手し、非同期・ドキュメント文化・コンテキスト層を前提整備。Atlassian Cloudでは、Loom + Confluence/Jira + Teamwork Graphが基盤。
  • Loomによる非同期化:
    会議の30%を非同期化し、文字起こし → Confluence → Jira の連鎖ワークフローを実現。SOP自動生成やリーダーの社内発信など用途が拡大。
  • AI Working Agreement & AI Retro:
    チーム単位で AI役割分担・利用箇所を明文化し、サイクルごとに振り返る。適用チームで約20%の効率向上。

総括すると、AIの効果を最大化するには個人の生産性向上にとどまらず、チーム単位での運用設計と文化づくりが不可欠です。本記事が皆様の AI活用のヒントとなり、組織改善やビジネス向上のきっかけとなれば幸いです。

本ブログのカテゴリ: AI活⽤・業務改善事例 イベント

やました

ソリューション営業部 セールスエンジニア課

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