AI×Workatoの業務自動化、本番運用でわかった「効果が出ない」落とし穴|反社チェック自動化フローのその後
2026年07月23日
AI・DX室 dx
こんにちは、AI・DX室の須藤です。AI・DX室は、社内課題の特定・改善と AI活用による業務改革を通じて生産性を高め、データ活用による迅速かつ質の高い意思決定を支援しながら、全社的な DX推進をリードしています。
昨年10月末に、取引前の企業に対して、与信・反社の観点で取引可否をチェックする業務(以下「与信反社チェック」)を AIとWorkatoを使って自動化する事例 を紹介しました。
今回は、与信反社チェック業務を Workatoで本番運用し、改善してきた中で、見えてきたことを共有します。
前回ブログのサマリ
もともとリックソフトの社内では与信反社チェック業務を担当部署が人手で行っていました。各部署から依頼を受けてから与信スコアの確認、反社に関する記事検索をしたうえで信頼性を担保し、取引先として登録をしていました。
前回のブログ記事では、この一連の業務を Workato Goと AIで自動化する取り組みを紹介しました。

自動化前のワークフロー図
依頼者がWorkato Go上で取引先の情報を入力すると、AIが与信チェック(企業情報の自動評価)と反社チェック(Web検索による自動評価)を行い、結果をJiraチケットに記載する仕組みです。

実際のWorkato Goの画面
本番運用後も、AIによるチェックが完了した後は、担当者が取引先マスタを更新し、上長が承認するという手動のフローが続いていました。

前回ブログ時点でのワークフロー図(クリックして拡大)
本番運用までの変更点
ブログ公開後、2026年3月の本番運用開始までに、AIの Web検索が機能しないことがわかりました。AIが存在しないページを参照してしまうケースや、AIからのページアクセスを拒否されるケースがあるためです。
これでは信頼性担保の精度が低く、本番運用ができないため、反社チェックのロジックを見直すことにしました。
調べてみると、不具合の原因は、多くの新聞社の Webサイトが AIからのアクセスをブロックしていることでした。検索結果のページを参照できないうえ、ハルシネーションも加わり、精度が低下していました。

参考: GoogleのAIからのアクセスを拒否設定にしている画像
対策として、外部のWEB検索APIを導入し、AIが直接Web検索を行う代わりに、API経由で取得した検索結果を渡す形に変更しました。これにより、存在しないページの誤参照がなくなり、Vertex AIでは取得できなかったページも参照可能になったことで、精度が向上しました。
導入効果
本番運用開始から現時点までに、Workato Go経由で32件起票され、そのうち24件(75%)は AIチェックのみで完結しました。
また、従来人がチェックしていた際は1件あたり約20分かかっていたのが、AIに代替することで約3分に短縮(約85%削減)され、月あたり約2時間の工数削減となりました。
本番運用で直面した課題とその対応
本番運用開始から1ヶ月後、ある課題が見えてきました。
それは、「与信反社チェックが自動化されても、後続フローである取引先マスタ登録と上長承認が残っている限り、効果を感じにくい」という点です。
依頼者が与信反社チェックを依頼する目的は、与信反社チェックと取引先マスタへの登録を経て、見積もり作成に進むためです。つまり、依頼者にとってのゴールは「見積もりが作れる状態になること」です。
今回自動化したのは与信反社チェックのみであり、後続の取引先マスタ登録と上長承認は既存運用のままでした。
本番運用前時点でAI・DX室ではチェック業務の工数削減が効果と考えていました。
しかし、見積作成までのリードタイムを削減するには、後続の登録・承認フローにおける人の対応を自動化できないと効果は弱いままでした。
この課題に対して、2つの対応を行いました。
取引先マスタへの登録の自動化と、承認フローの見直しです。
取引先マスタへの登録の自動化では、Outsystemsで開発している社内システムに取引先の登録用APIを開発しました。資本金や上場有無を Salesforceや企業Webサイトから自動取得し、APIで登録することで、担当者の対応無しで自動登録される運用に変更しました。
併せて、上長承認の権限委譲を行い、担当者による承認を可能にして上長の工数を削減しました。
これらの対応により、依頼者は与信反社チェック依頼後に、担当者の対応を待たずに後続フローへ進められるようになりました。
また、AI与信反社チェックで不合格となった場合は既存の運用で与信反社チェックを実施します。

最新のワークフロー図(クリックして拡大)
本番運用から得られた教訓
今回の与信反社チェックの本番運用から、業務の一部分を自動化しただけでは効果は薄いということを学びました。また、AIありきの仕組みに変える場合は、会社のルールや規程も「AIありき」に変えることで効果を実感できる運用に変革できることも大きな学びとして得ることができました。
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