リックソフトブログ

Atlassian MCPを中心に社内用MCPアプリを作ってみた

2025年08月19日

Lee.Sanghyun

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リックソフト開発部社内の生成AI活用チームエンジニア、LEEです。

リックソフト社内では 2025年8月現在、自社開発の生成AI活用Slackアプリ「AIrick(アイリック)」を社内Slackに搭載し、社員の業務効率化や業務支援を行っています。

今回の記事では Atlassian製品の Confluence, Jiraを中心に発生する様々な作業を MCP(Model Context Protocol 以下 MCP)を用いて作った AI エージェントに代行させる方法についてご紹介いたします。

MCPとは?

MCPは、Anthropic社が2024年11月にオープンソースとして発表した AIモデルと外部のデータソースやサービスをつなぐための共通プロトコルです。

USBポートがどんな機器でも同じ形状で接続できるように、MCPはどんな AIモデルでも同じ手順で外部サービスにアクセスできる仕組みを提供します。

Atlassian MCPの紹介

Atlassian MCPとは、AI エージェントアプリまたは MCPを走らせるためのクライアントと Atlassian製品を繋げるためのものです。

今回はMCPサーバーとして Atlassian 公式の Atlassian MCP(beta)ではなくサードパーティーのオープンソースを用いて構築いたしました。

現状サポートされている製品は「Jira, Confluence」のみです。

■Atlassian MCPの主な機能

  • 自然言語による Confluence/Jira操作
    AIツールから「タスクを一覧表示」「ページを作成」などのリクエストを投げるだけで、自動的にConfluenceや Jira上の操作を実行できます。
  • OAuth認証&細粒度の権限管理
    Atlassianアカウントを使った OAuthフローにより、安全に認証。
    操作できる範囲も読み取り専用(READ)から書き込みまで柔軟に設定可能です。
  • 一元化されたエンドポイント
    従来は各サービスごとにプラグインを用意していたものを、MCP標準プロトコルに沿った単一のサーバーで集約。新規サービスへの拡張も容易です。

Atlassian MCPを Anthropic社が提供する Claudeや VSCodeの MCP拡張機能を使い繋げて使うことも可能です。

■課題

Atlassian 製品を Claudeや VSCodeに繋げて使えるのは魅力的ですが以下のような課題があります。

  • カスタマイズ性の制約
    カスタマイズ性の制約 標準提供されるコマンドやワークフローに依存するため、自社独自の業務フローやプラグイン拡張が困難。細かい処理の差し込みや条件分岐ができず、汎用的な操作に留まる。
  • データガバナンスの不透明さ
    外部ホスト型の AIサービス経由で操作が行われるため、送信されるデータのログ取得や保存先の管理がブラックボックス化しやすい。機密情報を扱う際の監査対応やコンプライアンス面で不安が残る。
  • コードエディタVSCodeは社員一部のユースケースにしか適合していない
    Atlassian製品の操作は製品を全社レベルで導入している場合コーディングに特化したコードエディタを通して行うには向いてないはずです。
    仮に社内のマーケティング部が通常業務で使っている Jiraのチケットを VSCodeをインストールして操作するように業務フローを組むのはかなり苦だと思うはずです。

■市場に公開されているソリューション

  • Claude Code
    ターミナルでローカルからMCPサーバーに繋げることが出来る
  • Rovo Dev CLI
    同じくターミナルでローカルからAtlassian 製品に繋げ自然言語で操作が可能

■まだ残された課題がある

ローカルのターミナルで MCPに繋げることができ PCを持っている社員なら使い勝手がよくなることは間違いないはずです。

ただし、データガバナンスの不透明さとカスタマイズ性の制約は同じく内臓された LLMを使うだけだという点ではまだ解消されていません。

リックソフトのソリューション「Rick CLI」

MCPは、既存製品に繋げて使うこともできますが自作した AIアプリとも連携することが可能です。

リックソフトの生成AI活用チームでは今までの課題を改善するために自作AIエージェントをローカルのターミナル上で利用できるようにデモアプリである Rick CLIを作りました。

Rick CLIは既存の課題であるカスタマイズ性の向上とデータガバナンスのモニタリングを改善することを目標とし作られました。

デモ段階なため、今回は Atlassian MCPを用いてデフォルトの接続だけでは出来ないいくつかのタスクを代行させてみようと思います。

デモ

RICK CLIの画面はこのようになってます。

RICK CLIの画面

このアプリの裏側に Atlassian MCPやそのほか様々なツール・MCPと繋がってる AIエージェントがユーザーの質問を待っている状態となります。

現在ログイン中のユーザーのプロフィール情報を取得

今ログイン中のユーザー情報は、デフォルトの MCP機能だけだと AIが自ずとプロフィール情報を元に検索を行ってくれたりはしません。

ユーザーの指示・プロンプトをその都度設定しユーザープロフィール情報を取ってくるよう促さないといけません。

RICK CLIでは、AIエージェントが返答を生成するのに必要なメタデータを前もってスタンバイ状態に保っておくことでより便利に Atlassian製品の操作が行えるようになっています。

現在ログイン中のユーザーのプロフィール情報を取得

ユーザーが所属しているプロジェクト一覧を取得し AIの返答に利用させる

プロフィール情報同様 Jira課題を操作するにはプロジェクト名を言ってあげないとうまく操作を行うことが出来ません。

前もってユーザーが参加中のプロジェクト情報を保持しておき回答生成時に参考することが出来るようになっています。

ユーザーが所属しているプロジェクト一覧を取得しAIの返答に利用させる

取得したプロフィール情報を元に未割当 Jira課題にユーザーを担当者として割り当てる

Jira課題にユーザーを担当者として割り当てるフロー1

Jira課題にユーザーを担当者として割り当てるフロー2

Jira課題にユーザーを担当者として割り当てるフロー3

Jira課題にユーザーを担当者として割り当てるフロー4

完全カスタムエージェントを使い定義されたフォーマット通り日報を書かせる

最後は完全自作エージェントのみで MCPを活用し今日の Jira, Confluence活動履歴を分析させ決まったフォーマットに沿って Confluenceページに日報を作成してみましょう。

定義されたフォーマット通り日報を書かせる

エージェントを管理する管理者用AIはユーザーが日報を生成してほしいと判断し日報作成を行うエージェントを呼び出し Confluenceページフォーマットに合わせて日報を生成してくれます。

当日の日報がConfluenceに追加

このように当日の日報が Confluenceに追加されます。

日報のフォーマットは今後改善の余地がありますが Confluenceの書式に合わせてテーブルも崩れずうまく生成されてまることが分かります。

終わりに

今回は Atlassian MCPを中心に外部MCPと自社AIエージェントを繋げまるで人間に指示を出してるようにAtlassian 製品の操作を行ってみました。

まだまだ「部署ごとにレポートの報告書を違うようにしたい」、「ユーザー独自のプロンプトを組み込んで自分好みのエージェントを作りたい」等いろいろ改善の余地がありますが次回があれば追加した機能もご紹介できればと思います。

                             

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