リックソフトブログ

2025年05月20日

ZendeskからJira Service Managementに移行で、自動化による顧客満足度向上・タスク削減を実現した事例を聞いてきました【Atlassian Team'25】

Author

むてんかまなみ Mutenka Manami

むてんかまなみ</mt:Var>

  

Atlassianの年次イベント「Atlassian Team'25」に参加し、米Thumbtack社のセッション「Zendesk からJira Service Managementに移行して得たバリューの事例」を聞いてきました。

Zendeskを使って社内のリクエスト管理をしているが、企業規模の成長とともに課題が発生しているという方に向けて、ZendeskからJSMに移行した事例についてご紹介します。

セッション情報

  • セッション名:How Thumbtack achieved next-level automation(Thumbtackがいかに極めて高いレベルの自動化を達成したか)
  • Speaker:Chris Bocage (Director, IT Operations, Thumbtack)
  • Company:Thumbtack / ウェブサイト https://www.Thumbtack.com/
  • Solution Product:Jira Service Management
  • 概要:ThumbtrackがZendeskからJira Service Managementに移行し、自動化のプロセスを組み込むことでどんなことが実現できたのか、移行プロセスとともに紹介。

■ Thumbtack社について

まずは、Thumbtrack社のご紹介をいたします。

アメリカのサンフランシスコに本社を置き、各地域の専門家を検索し、仕事を発注できる地域特化型ウェブサイトを運営する企業です。従業員数は2025年4月時点で約1,497名。北米、アジア、EUとグローバル規模のスタートアップ企業です。(日本ではサービス展開をしていない企業なので、馴染みがあまりないかもしれません)

ハウスクリーニング・住宅リフォーム・引っ越し・害虫駆除などの生活にまつわる事業者とユーザーをマッチングするサービスを提供しています。30万人以上の専門家が多様なサービスを提供し、500あるカテゴリから8,000万件以上のプロジェクトを対応しています。

Zendesk利用時代のThumbtackの課題と背景

同社はAtlassian製品を2015年から使用しておりましたが、ITSMツールとしてはZendeskを利用していました。

Thumbtrackは社内のITSMに関して、以下4つの課題を抱えていました。

(1)ITサービスマネジメント(ITSM)の効率化

ITサービスマネジメント(ITSM)のプロセスをより効率的かつ効果的に運用できるよう、ITSM体制やツール、手順などを拡大・強化する必要に迫られていました。

(2)手動プロセスの削減

手動プロセスが多く存在していたため、改善する必要がありました。

(3)プラットフォームの制限

利用していたZendeskのプラットフォームはシステムの連携に制限があり、規模を拡大するための障害となっていました。

(4)人材採用の障壁とテクノロジーへのシフト

限られた予算の中で新たに人員を雇うことが難しい状況でした。効率的に規模を拡大する方法を見つけるために既存のテクノロジースタックを最大限に活用し、抱えている問題を「人で解決するのではなくテクノロジーで解決する」という考え方にシフトする必要がありました。

ZendeskからJira Service Managementに移行して実現したこと

ZendeskからJSMに移行して実現したこととして以下の2つを中心にお話されました。

(1)全体のライセンスコスト"60%削減!"(10万ドル → 4万ドルへの削減)

Zendeskを使用時のライセンス費用は、10万ドル以上にのぼります。

しかし、その業務を代替するために導入したJira Service Managementの100エージェントのライセンス費用はわずか4万ドルで、ライセンス費用を60%圧縮することに成功しました。

(2)SLA遵守率、解決時間および応答時間に関連して90%に上昇!

  • 全体の内623件のチケットを、1年間で完全に自動化することを実現しました。
  • ◦ 年間6,000件以上のチケットを処理していたため、チケットボリュームを約10%削減しました
  • ◦ 自動化ができた初年度の顧客満足度スコアは5点満点中4.94点というハイスコアを達成!
  • ◦ 自動化を進めることでチームメンバーがトレーニングや開発など、より注力すべき業務に焦点を当てることができ、非効率的な単調な作業削減を実現!

ZendeskからJSMに移行するプロセス

Jira Service Managementの利便性の高さから、利用範囲が拡大していきました。エージェント数ライセンス数は拡大し、100エージェントから200エージェントになりました。

JSMでは、OktaやSlackなどのアプリケーションとAtlassian Plattformの連携が連携でき、各製品・アプリの自動化機能を積極的に活用し、省人化につながりました。

ZendeskからJira Service Managementへの移行スケジュール

気になる移行にかけたスケジュールは以下の通り。(やはり移行は1年半がかりです)

  • 2023年2月頃:JSMのITサービスデスクの構築を開始
  • 2023年5月:JSMのITサービスデスクの稼働を開始
  • 2023年9月:HR、福利厚生、給与などを担当する人事チームに対して展開
  • 2024年2月:自動化されたアプリケーションカタログを展開
  • 2024年9月:Jira Service Managementのライセンスを追加して200ライセンスにし、スケーリングを継続
  • 2025年4月現在:多くのプロダクトチームやオペレーショナルチーム全体で広く使用

◆ 移行にあたってはまずFirst Goalを設定

移行にあたり、最も影響力の高そうな課題をファーストゴールに設定して着手しました。Thumbtrack社は最初の構築段階で完全に自動化できる最初の15個のアプリケーションを展開することを目標に設定。あわせて、プロビジョニングに最も時間がかかっているツールに注目(手動でグループを追加や特定のアプリに誰かを招待)し、これらが自動化できないか検討しました。

◆ OktaとAtlassian Plattformを連携 → 組織全体に対して自動化、インパクトと価値をもたらす

JSM導入によりもたらされた価値の一例として、「アイデンティティ管理とアクセス管理を合理化」が挙げられます。

  • アクセスリクエストが来たときに、承認者が承認をし、そのアプリケーションへのアクセスを合理化された方法で提供できます。
  • これはJira Service Management内の自動化ルールに直接結びついており、Oktaのアクションと相互作用し、アクセスをプロビジョニングしてグループにリクエスト者を追加し、必要なアクセスを提供します。そのうえで、すべての作業に関するログの強化やセキュリティ、コントロールの管理機能を向上させる改善が可能になりました。

◆ 導入プロセス:リクエストフォームの作成

導入プロセス:リクエストフォームの作成

  • ヘルプデスクのSlackチャンネルでやり取りし、リンクを通じてリクエストフォームに直接アクセスをできるように構築しました。
  • ◦ リクエストフォームの内容は、ビジネスの目的や特定のアプリケーションへのアクセスが必要な理由の詳細と必要な期間を指定できるようにし、アクセスの種類として一時的なアクセスか永久的なアクセスなのかの選択もできるように設定しました。
  • ◦ アプリケーションカタログフィールドとロールフィールドは Jira Service Management アセットに直接結び付けられ、特定のアプリケーションに関連するカスタムロールとカスタム権限を構築し、自動化によってロールとグループをOktaに追加ができます。
  • ◦ フォームに記入し、チケットを提出すると自動化はリクエストされたアプリケーションを確認し、チケットに関連する承認者を追加します。また、アプリケーションを管理するビジネスユニットがあれば、この承認に追加ができます。 そのため、ITだけがアクセスを管理するわけではなくビジネスの利害関係者が承認を提供することもできます。
  • Slackアシストアプリ内では、「チケットへのリンク」、「チケットの概要」、「説明」、「リクエストを行っている人」が通知されます。
  • 承認したい場合、Slack内で直接承認をクリックすると、プロセスの残りを開始します。
  • リンクをクリックすると、チケットにアクセスでき、承認者はそこから決定を下すことができます。

承認者はそこから決定を下すことができます

承認をクリックすると、エンドユーザーにはリクエストが承認されたことが通知され、選択した役割に基づいてアクセスが提供され、Oktaダッシュボードから直接アクセスできるようになります。

エンドユーザーにはリクエストが承認されたことが通知

エンドユーザーからは対応後にフィードバックをもらうことができます。

このケースではエンドユーザーから「星5⭐️」の顧客満足度スコアを得られました。

期待していたよりも早くアクセス権を与えられたことでエンドユーザーは非常に満足したことがわかりますね。

顧客満足度スコア

これらのプロセスの結果

現状(As Is)理想像(To Be)
手動でアプリケーションの割り当て

承認プロセスの担当者割り当てを自動化

多くのアプリケーションを管理

組織全体にアプリケーションオーナーがいるため、承認のボトルネックが解消されました。

ビジネスの利害関係者が承認すれば、誰でもアクセスができるようになりました。

社内リクエストを管理するのに多くの時間を浪費

リクエストをパワーアップするための自動化を構築することに時間を投資

今後は、さらに自動化に焦点を当て、手動のタスクを排除し、より複雑な問題やプロジェクトに取り組んでいくとのことです。

これまでに、Atlassianの主力製品であるJira Service ManagementとOktaを連携し「自動化」を活用することで顧客満足度の向上、不要なタスク削減を実現することができたということです。

JSM移行セッションのおわりに

セッションでThumbtrack社のChris Bocage 氏は「優れたプロセスを構築するためには、優れたチームを構築する必要がある」と話します。

記載しているプロセスは一人で構築したのではなく、異なる分野に特化している3人のメンバーと協力することにより実現することができたとのことです。

JSM移行セッションを見た感想

Jira Service Managementへの移行をすることで大幅なライセンスコスト削減のうえ、日々の業務を軽減してくれたり、さらに顧客満足度も上げることができるなんてすばらしい移行事例ですね。

今回ご紹介したのは、Atlassianの組織内向けITSMツールの「Jira Service Management」です。Team25で一般カスタマー向け「Customer Service Management (CSM)」が発表されました!

現在はクローズドベータ版なので詳細は今後に期待ですが、Jira Service Management (JSM)との違いは、社外向け(外部顧客)のCS対応をされている方向けのアプリということです。Customer Service Management (CSM) はその名の通り「顧客向けのサポート業務を効率化するためのサービス管理ソリューション」なのです。お馴染みのJira Service Managementをベースにしており、外部顧客の対応に特化した機能を提供しています。

▼JSMとの違い(一例)

顧客用のAIエージェントがある顧客情報の紐づけができる

社外向けにAIチャットがチューニングされており、顧客の公式HPや外部サイトの社外情報を含めて回答の生成をするため、AIの回答精度が高くなり、対応できる幅が広くなる

  • Salesforce等のCRMとも連携することができるため、チケット上に問い合わせ者の顧客情報(売上情報や従業員数など)を表示することが可能
  • 公開されている顧客情報に基づいたデータがみれるため、優先順位をつけて対応が可能

ご興味がある方はこちらのリンクよりWaiting Listに登録できます。

本速報でご紹介した各ソリューション・製品のより詳しい情報も、リックソフトウェブサイト上で随時更新していきますのでお待ちください!

ご一読ありがとうございました!

本情報はTeam'25のセッション内容やその他Atlassian社のブログを元に作成しています。

Atlassian社発信の情報と本ブログの内容が異なる場合、前者が正となります。

                             

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