2024年04月11日(2025年12月17日 更新)
堀田実希 hotta
Jira Software(ジラ・ソフトウェア)の"スクラム開発"テンプレートを使って、2024年に達成したい生活目標管理をしようとしています。
3月が終わりました。1イテレーションを1か月としているので、いま3スプリント目が終わったことになります。
「ストーリー」の下に子課題「サブタスク」を入れて運用しています。
ふりかえってみると、AI「子課題すべて終わったのに親課題は未着手(To Doステータスのまま)というストーリー課題がいくつかありました。なんだかモヤモヤするので、「子課題が始まったら親課題も進行中になってほしいな~」「自動で進行中になってくれよ~」と思うようになりました。
こういうときに便利なのが Jiraの自動化機能 です。
「ワークフロー」「課題タイプ」「権限」の3項目で初心者がつまずきやすいポイントと解決策をご紹介します。
ワークフロー
つまずきポイント①「ステータスとトランジションの違いが分かりにくい」
まずは「3〜5ステータス」のシンプルな流れで覚え、プロジェクトごとのワークフローを図で共有するなど視覚的に理解してもらいましょう。
つまずきポイント②「ステータスが多すぎて、「次にどこへ動かせばいいのか」迷う」
デフォルトのワークフローから開始し、必要なステップを少しずつ追加しましょう。
課題タイプ
つまずきポイント①「ストーリー/タスク/バグ/エピックなどの違いが分からない」
用途ベースの定義をチームで決めましょう。
例:エピックは複数スプリントにまたがる大きなテーマ、ストーリーは1 スプリント(数日〜2週間)で終わる作業単位など
つまずきポイント②「規模に関わらず全てをタスクとして扱ってしまう」
課題作成時に、課題タイプの使い分けガイドラインを説明文として表示させましょう。
権限
つまずきポイント「グローバル権限、プロジェクト権限、イシューレベル権限の違いが理解しづらい」
まずは、プロジェクト権限のみに焦点を当てましょう。
自分が編集できないときの変更リクエスト方法などもまとめ・共有しましょう。
初心者のメンバーには、実際に触って学んでいただくことや公式ドキュメントの活用いただくほか、企業独自で利用ガイドを作成すると総合的に理解を深めていくことができます。
Jira初心者ユーザーのよくある質問例
Q:ワークフローは後からでもカスタマイズができるか
A:後からのカスタマイズは可能です。ワークフローは、プロジェクト運用中であっても、管理者が新しいステータスや移動ルールを追加・編集できます。
注意点としては、作業中の課題に影響が出ないよう計画的に行いましょう。
Q:課題を削除しても問題ないか
A:課題を削除すると履歴やレポートが失われるため、一般的には「完了」「キャンセル」「クローズ」などの最終ステータスに移行させましょう。
Q:権限設定の基本的な考え方を教えてください
A: 権限は、「ユーザー」や「グループ」に直接割り当てるのではなく、「プロジェクトロール」(例: 開発者、QA、管理者)に割り当てます。
特定のユーザーやグループをそのロールに追加することで権限を付与するのが基本です。
左バーの「プロジェクト設定」をクリックし、「プロジェクトを設定」をクリック。上から三番目に「自動化」というのが出てきますので、それをクリックしてみたところ...
「Permission denied」と表示されてしまいました。そのあと、こんな表示が。
つまり、自分は自動化権限が付与されていないユーザーということです。
2年前にJira CloudにリリースされたJira Automation通称Jiraの自動化機能は非常に便利で、「Jiraの魅力の一つ」と語ってくれるユーザーもいるほど。
しかし、Jiraの契約プランによって、月間の自動化実行可能回数に制限がかけられているのです。
10ユーザー以下のFreeプランのJiraでは月間100回/組織。Standardプランでは1700回/組織、Premiumプランでは1ユーザーあたり1000回、となっています。
自動化の範囲を「このプロジェクトだけ」と限定することもできます。自動化の対象は、チーム管理対象・企業管理対象両方のプロジェクトの両方です。
回数制限があるので、Jiraの管理者は「費用対効果のいい自動化は有効化していい」などと管理する必要があるケースもございます。
JiraのAI機能で自動化ルールを設定するには、操作するJira Cloud環境で「AI機能」が有効になっており、かつ、ユーザーが対象のプロジェクトで自動化ルールの作成・編集できる状態になっている必要があります。
Jira管理者は、自動化の「グローバル設定」でどのユーザーに自動化ルールを作成できるかを管理でき、プロジェクトをまたいだグローバル自動化の権限を持っています。
プロジェクトの管理者は、そのプロジェクトの自動化の作成・編集ができます。
ただし、自動化のグローバル設定で、個別に自動化のルール作成できないよう設定されている場合、プロジェクトの管理者でも自動化の作成・編集はできません。
誰が・どのプロジェクトの自動化権限を持っているか誰も管理していないという状況は、情報ガバナンスの視点でも危険な状況といえるので、定期的に権限の棚卸をしましょう。
デフォルトで含まれるJiraの課題タイプの基本的な使い分けを紹介します。
| エピック | プロジェクト内の大きな目標、作業のまとまりや機能単位 |
|---|---|
| ストーリー | ユーザー視点で「何を実現したいか」の機能要件 |
| タスク | ストーリーの実現に必要な技術的作業や業務 |
| サブタスク | 親課題(タスク)をさらに細分化した具体的な作業項目 |
| バグ | 発生した不具合用の修正作業 |
課題タイプはチーム内での定義・共有が重要です。
定義が曖昧だった場合、課題の見積もりが不正確になったり、進捗報告などで混乱を招きます。各課題タイプを「いつ」「どのような粒度」で使うかを統一することを推奨します。
エピック:大規模な目標や製品の大きな機能や、複数のスプリントにまたがる成果物全体を管理する際に使用します。
ストーリー: アジャイル開発(特にスクラム)でよく使われ、エピックの下位に位置
ユーザーにとって意味のある機能要件を定義します。
通常、エピックの下に複数のストーリーやタスクを紐付けて、進捗をまとめて管理します。

タスク:ストーリーを実現するために必要なインフラや技術設定を行います。
サブタスク:具体的な作業ステップで、詳細な実行ステップに分解し、作業進捗を正確に把握したいときに使用します。
バグ:システムやプロダクトの障害・不都合問題(エラー、表示崩れ、誤った計算結果など)を追跡・管理したいときに使用します。
Jiraの自動化機能を活用することで主に2つのメリットがあります。
① 効率性・生産性の向上と工数削減
「子課題が進行中になったら親課題も自動で進行中にする」など、手作業で繰り返し発生する作業や定型作業を自動化できます。
手動で親課題のステータスを変更する手間がなくなり、作業ミスや漏れも防止されるだけでなく、チーム全体の生産性向上にもつながります。
② 進捗管理が正確に
子課題やサブタスクの進捗に応じて、課題の更新ルールや手順が自動化されるため、実際の進捗状況がリアルタイムで正確に反映されます。
一般的に使用される自動化ルール例を2つ紹介します。
① 子課題の連動
トリガー(いつ):課題トランジション時「Todo」から「進行中」になったとき
アクション(何をする):その課題に「親」があった場合、ステータスを子課題(トリガー課題)からコピーする
② SLA管理
トリガー(いつ):バグが作成されてから24時間以内にステータスが「進行中」にならなかったとき
アクション(何をする):課題の優先度を「高」に引き上げ、該当者に通知する
コーディングスキル・経験が少ないユーザーにとっては自動化ルールの設定にはかなりの時間を要します。
そんなユーザーでもAtlassian Intelligence(AI)を活用すると、自然言語で自動化ルールを作成してくれるため、コーディング知識がなくても設定が簡単です。設定に迷ったり、複雑な条件分岐もAIがサポートしてくれます。
※Atlassian Intelligence(AI)による自動化ルール作成はPremiumプラン以上で使用可能です。
① バー「プロジェクト」または「作成」ボタンをクリックし、「プロジェクトを作成」を選択します。
② テンプレートの選択画面が表示されるので、目的に合ったテンプレート(プロジェクトの作業方法を定義したもの)を選択します。

③ プロジェクトの種類を選択し、プロジェクトの名(表示されるプロジェクトの正式名称)とキー(識別するために使われる短縮された識別子)を設定した後「次へ」ボタンで完了です。

Jiraの主要なプロジェクトテンプレートであるスクラム、カンバン、バグ追跡の特徴と選択のポイントを説明します。
「スクラム」
定期的な頻度で業務を実施するチームや複数のツール全体で作業を連携したい DevOps チームの使用を推奨します。
時間ベースのイテレーション(スプリント)で作業を区切り、計画と完了を繰り返します。
スプリントバックログ、スプリントボード、バーンダウンチャートなどの機能が標準装備されています。
「カンバン」
バックログの作業量を制御するチームや複数のツール全体で作業を連携したいDevOps チームの使用を推奨します。
継続的なフロー型作業管理に最適です。作業を「To Do」「進行中」「完了」などのカンバンボードで管理します。
計画の柔軟性を高めてボトルネックを減らし、開発サイクル全体で透明性を向上します。
「バグ追跡」
バグを追跡、解決するチームの使用を推奨します。
バグとタスクの課題タイプに特化しており、チームが全体的なゴールに照らして優先順位を付けて、価値を顧客に継続的に提供できるようにサポートします。
それぞれのテンプレートを選択する際のポイントも紹介します。
Jiraのプロジェクトタイプは設定の管理責任と柔軟性において大きく異なります。
チーム管理対象
プロジェクト管理者やメンバーが、プロジェクトごとにボードやワークフローなど独立して設定できます。
そのため小規模チームや独立した運用、迅速な導入・変更が必要な場合に最適です。
企業管理対象
設定はJira管理者によって一元管理されます。
ワークフローや課題タイプの設定は、組織内の複数のプロジェクトで再利用される共通の「スキーム」に基づいています。
そのため、数チームでの標準化や統一運用、複雑な権限管理やワークフローが必要な場合に最適です。
| 項目 | チーム管理対象プロジェクト | 企業管理対象プロジェクト |
|---|---|---|
| メリット | 設定が簡単で、プロジェクト管理者が自由にカスタマイズ迅速な導入・変更が可能 | 標準化・統一運用が可能 複雑な権限など大規模プロジェクトに必要な機能が利用可能 |
| デメリット | 権限や設定の制御やプロジェクトごとに設定が異なるため、組織全体の標準化が難しい | 設定や変更にJira管理者の権限が必要のため導入・変更に時間がかかることがある また、柔軟なカスタマイズが難しい場合も |
Jiraのワークフローは実際の業務フローに合わせて柔軟に拡張・カスタマイズすることが可能です。
ステータスの追加・変更
「TODO」「進行中」「DONE」以外のステータス(例:レビュー中、承認待ちなど)を追加できます。
トランジション(遷移)の追加・制御
ステータス間の遷移ルールを設定し、特定の条件下でのみ遷移できるように制御できます。
条件・バリデーション・ポスト関数の設定
遷移時に特定の条件や承認、フィールド入力必須などのバリデーションを追加できます。
※企業管理対象プロジェクトで設定可能
自動化ルールの設定
ステータス変更時に自動での担当者割り当てや、通知を送るなどの自動化が可能です。
開発フローの明確化
Jiraのワークフローを可視化するコツ
「一度も使われていないステータス」「同じ意味のステータス」があれば統合するなど、ステータス数は最小限にしましょう。
ステータスだけでなく、課題タイプ(エピック、ストーリーなど)の階層も増やしすぎないことがポイントです。
例えば、担当者変更を可視化するには、ダッシュボードに「自分に割り当てられた課題」やクイックフィルター付きのガジェットを追加することで、担当者別の現在の作業負荷や、誰がどのフェーズの作業を持っているかをすぐに確認できるようになります。
ワークフロー設計の複雑化を防ぐポイント
ステータス数、課題対応の階層
ステータス数は7〜10個前後を推奨します。ステータスが多すぎると、何を意味する状態なのかが曖昧になり、チームの負担が増します。
ステータスだけでなく、課題タイプ(エピック、ストーリーなど)の階層も増やしすぎないようにしましょう。複雑な階層は、連携ルールの設定やレポートの集計を非常に困難にします。
必須トランジションの厳選 本当に必要な品質ゲート(例: レビュー完了、必須フィールドの入力)があるポイントにのみ、バリデーターやポストファンクションを使用します。
過剰な自動化や制約はチームの作業を妨げ、結果としてJira以外で作業や管理が行われる原因になります。
ボード、ダッシュボード
表示するレポートやダッシュボードのガジェットは、「1画面で把握したいこと」に絞るなど、似たようなダッシュボードをプロジェクトごと・チームごとに乱立させず、5〜7 個以内を推奨します。
参考:https://www.atlassian.com/ja/software/jira/guides/workflows/overview#what-is-a-jira-workflow
<Confluenceの自動化ルール利用が作成しやすくなりました>新機能紹介|「互換性のあるアクションの絞り込み」 -リックブログ-
Jira(ジラ)の自動化機能を使ってサブタスクのストーリポイントの合計値を親タスクに自動入力させてみた -リックブログ-
そんなコーディングリテラシーの低い、またはJira初心者でも自動化ルールの作成を手伝いしてくれるのが、このAtlassian Intelligenceです。*Premiumプラン以上で使える機能です。
自然言語・日本語で"子課題が「進行中」または「完了」のステータスになると、親課題も「進行中」になる"と記載したところ、以下のようなルールを作ってくれました。
AIに作ってもらった条件に子課題が「進行中」または「完了」も指定されますので、自分が思い描いていた通りの設定ができました。
最初からAIを頼っていたら20分もロスしなくて済んだ...という残念感と、「やっぱりAIとは上手に付き合っていきたいな!」と思いました。
この自動化のおかげで、何かしら子課題が進行しているストーリーやエピックはすべて「進行中」にすることができ、ちゃんと前に進んでいる感を得られました。
関連する内容は、できるだけ1プロジェクトにまとめることをおすすめします。
プロジェクトリーダーやステータスの流れ、承認フローの違いで分けるなど、基本的には「責任チーム」と「ワークフローの違い」で分けましょう。プロジェクトを増やしすぎると、全体的な集計や管理が複雑になります。
カスタムフィールドも、増やしすぎると課題作成時の負担増や、データベースのパフォーマンス低下につながります。選択肢の個数なども含め、フィールドは増やしすぎないようにしましょう。
| 小規模~中規模チーム | 小規模チームではデフォルト設定を使用し、カスタムフィールドも最小限に抑え、シンプルさとスピードを重視しましょう。 中規模チームでは、主要なワークフローは企業管理対象で標準化を推奨します。 |
|---|---|
| 大規模チーム | 全社統一とガバナンスを重視します。 企業管理対象プロジェクトで、共通の権限スキームや課題タイプを適用します。課題タイプ階層を拡張しながら、戦略的な管理を実現しましょう。 |
過度なカスタマイズは短期的には特定の要求を満たすかもしれませんが、長期的には以下のような保守上の問題を引き起こします。
カスタムフィールド過多
どのプロジェクトがどのカスタムフィールドを使っているか分からなくなり、削除や変更ができなくなります。画面が複雑になり、入力漏れ・形骸化も起こりがちです。
管理者依存・属人化
ステータスを細かく分けすぎや、独自に複雑化した設定、プロジェクトごとにばらばらのカスタマイズをしていると、設定担当者が変わった際のメンテナンスが大変になります。
「オートメーション・ポストファンクションの乱立」
自動化ルールを増やしすぎると、どのトリガーで何が走っているかがブラックボックス化し、障害時のトラブルシュートが困難になります。
また、仕様変更(新ステータス追加、フィールド名変更など)のたびに、ルールの洗い出しや修正に多くの工数がかかります。
Jiraのデフォルト設定を活用することで、プロジェクトテンプレートをコピーして新規チームのスムーズな立ち上げ、共通のダッシュボードやレポートを複数プロジェクトで使いまわすことができます。
さらに、Jiraのテンプレートは、一般的な開発・運用のパターンを前提に設計されています。そのため、新しいメンバーの学習コストも低減できます。
カスタマイズする際は、「チームの生産性向上に不可欠かどうか」を考えながら、段階的に小さく試していきましょう。うまくいった構成は標準テンプレートとしてまとめておくこともおすすめです。
Jiraの自動化ルールやワークフロー設計は、うまく活用すればチームの生産性と可視性を大きく向上させてくれます。一方で、カスタマイズしすぎると保守や運用が複雑になり、初心者ほどつまずきやすくなります。
Jiraのデフォルト設定やテンプレートを活かしつつ、必要なカスタマイズだけを段階的に追加していくことで、「ムリなく・ムダなく・迷わない」運用を目指しましょう。
リックソフトは、アトラシアン製品を「製品の魅力を十分に引き出して使いたい」という企業の伴走型サポートを行っています。導入実績132社(2024年4月現在)。
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