2024年01月08日(2025年09月26日 更新)
堀田実希 hotta
IT人材不足やビジネス環境の急速な変化に対応するため、多くの企業がノーコードやローコード開発を導入し、業務効率化やコスト削減を実現しています。
本ブログでは、ノーコード開発を検討している方、業務自動化に興味のある方に向けて、ノーコード開発の基礎知識からノーコードツールの選定ポイントと、リックソフトがおススメするノーコードツールのユースケースまで紹介します。
ノーコード開発とは、プログラミング言語のコーディングなしでシステムやアプリを開発する手法を指します。
従来のシステム開発では、Java, Python, PHP, C言語 といったプログラミング言語でソースコードを書いてシステムを構築する事でユーザーの要求を満たしてきました。ノーコード開発というのは、グラフィカル・ユーザーインタフェースな開発を利用する事で要件に合ったシステムを構築する試みです。
ノーコード開発・ローコード開発はなぜ注目されるのでしょうか。一番の大きな理由に「コーディングができる人材不足」が挙げられます。
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)や、が進む中、企業の働き方改革に伴い、多くの企業で部門・部署単位で利用されるクラウドサービスの導入数は増えています。
クラウドサービス利用が増えてマルチクラウド化が進んだ結果、企業内外の多数のアプリケーション間でデータ連携を必要とするケースが増加しています。
しかし、経済産業省が公表した「IT人材の供給動向の予測」によると、ITニーズの拡大とIT人材の供給人数があっておらず、2030年までにIT人材の不足が予測されており、コーディング能力が成熟していなくてもシステムやアプリケーションが開発できるノーコード・ローコードツールが着目されています。
現代の市場は予測不可能な変化が常に起こり、市場のニーズ変化も刻々と変化しています。このような環境下では、ニーズに迅速な対応が必要とされています。
しかし従来の開発手法では、開発期間の長期化や専門性の高いスキルが必要であったため、迅速な対応が困難でした。
そこで注目されたのがノーコード・ローコード開発です。ノーコード・ローコード開発であれば、複雑なコーディングも不要になり、ビジネス部門でも利用できるようになるため、新しいビジネス要件や市場ニーズにも素早く適応できます。
同じような言葉に、「ローコード開発」(Low Code)があります。こちらはコーディングをゼロベースで行うのではなく、ツールの力を借りてコーディングをしながら開発をすすめる試みです。
ノーコードは一切コーディングが必要ないのと比べ、ローコードはコーディングが部分的に必要となってきますが、従来よりかなり少ないコード量で開発が進められます。
2024年現在、AIにコーディングを手伝ってもらって開発するというプロンプトエンジニアリングも注目されています。こちらも見方によってはノーコードあるいはローコードに分類できます。
ノーコード開発を行うメリットはコーディングをする場合比べて、リリースまでの開発期間を短縮できる事と、ビジネスの変化に素早く対応できる事です。
プログラミング知識を持たないビジネス・ユーザーが自分の要求に有ったシステムをセルフサービスで実装できる事です。さきほどの例で、SaaS同士の連携が該当します。「このSaaSの情報(例・ユーザ情報)と別システムのデータを同期する」などの要望と仕様、ワークフローが構築できるのであれば、自力で設計ができます。
社内に自社システムの開発リソースがない組織である場合、従来であれば、開発を外部に委託する必要がありました。
社内のユーザー部門がノーコード・ローコードツールを使って開発を自力で行うようになれば、この外注コストはそのまま削減することができます。
開発はエンドユーザー(ビジネス・ユーザー)が行います。要件が変わって改修が有ったりしても、利用する部署の方の人が修正してくれます。エラーが有った時の対応もエンドユーザーが行うので、開発者の工数を減らすことができます。
従来のシステム | ノーコード・システム | 備考 | |||
---|---|---|---|---|---|
ビジネス ユーザー | エンジニア | ビジネス ユーザー | エンジニア | ||
要件定義 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ビジネスユーザーとエンジニアが協力して問題の解決方法を検討して、方針を決定します。この部分は従来のシステムもノンコーディングも変更ありません。 |
実装・テスト | ◎ | ◎ | ○ | 従来のシステムでは実装とテストはエンジニアの作業となりますが、ノーコードの場合はエンジニアは技術支援のみとなり、主担当はビジネスユーザーになります。 | |
受け入れテスト | ◎ | ◎ | ◎ | △ | こちらも主担当はビジネスユーザーとなり、エンジニアはサポートのみとなります。 |
改修 | △ | ◎ | ◎ | △ | こちらも主担当はビジネスユーザーとなり、エンジニアはサポートのみとなります。 |
エラー対応 | △ | ◎ | ◎ | △ | システムで発生するエラーで最も多いのは、ビジネスロジックのエラーです。ノーコードの場合は、エラーの調査をビジネスユーザーが実施できます。 |
プログラムを作るよりも簡単にできるので、ビジネス部門の「こんな事が実現できるシステムがあったらいいのになあ」という理想論から実装するまでのスピードが気軽で容易です。そして、修正も用意なので継続して修正して改善していく事ができます。
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ノーコード・ローコード開発の注意点として、「開発プラットフォームに依存する」ことが挙げられます。例えばそのプラットフォームの提供が終了すれば、開発したものを更新できなくなったり、最悪の場合脆弱性対応のサポートを受けられなくなることもあります。
簡単に開発しやすい分、スクラッチ開発で開発したときよりも自由度が下がる可能性もあります。複数領域にまたがる開発は、各所関係者との調整をしたあとに、「やっぱりできなかった」ということも起こりえます。
現場が手軽に実装できるがゆえに、社員が各自バラバラにシステムを開発することが起こりえます。情報システム部は、それの管理が大変です。
SaaSが部署単位で導入され、シャドーITが発生したように、情報システム部が管理しきれない「シャドーノーコードシステム」が発生する恐れもあります。
専門知識を必要としないノーコード開発ですが、選択を誤ると導入したのにツール本来の価値が発揮されず、ムダなコストにもなりかねません。
ツールの選定ポイントを紹介するので、自社にあったノーコードツールを選択してください。
ノーコード開発するとなった一番初めの段階で、まずは「どんなアプリケーション・サイトを構築したいのか」といった利用用途や目的を明確化する必要があります。
目的を明確化することで、ノーコードツールに必要な機能を洗い出すことができます。
利用目的・要件を明確化したのち、導入予定のノーコードツールに開発に必要な機能が備わっているか確認を行います。
また、ノーコードツールはカスタマイズができないツールもあるため、将来的に機能や連携拡張の可能性があるかどうかは事前に確認しておくことを推奨します。
多くのノーコードツールは、専門知識が必要なく、直感的な操作ができますが、特に初めて利用する人への学習コストができるだけ抑えられるツールに選定することを推奨します。
例えば、他のクラウドツールと連携できるコネクタが豊富なノーコードツールであれば、利用者は事前にあるコネクタから選択するだけで連携を構築できます。
また、ドラッグ&ドロップで直感的に操作できるのか、利用者に分かりやすいインターフェースのノーコードツールをおすすめします。
リックソフトは、Workato (ワーカート)というノーコードのツールを活用しています。
Workato のメインの機能はシステム間の連携を自動化する事です。iPaas (integration platform as a service)とも言われています。企業向けのツールです。
リックソフトにはスクラッチから開発した業務システムが殆ど無く、ビジネスはクラウドのSaaSやパッケージ製品で実現しています。そのため、ニーズとしてはシステム間の連携が多いのです。
Workato で自動化を実現する場合「レシピ」という物を作ります。このレシピは下記の様に処理のフローを GUI で作成する事ができます。画面左側が処理のフローで、全体の流れを組み立てます。
ループや if 文などの分岐もこちらで組み立てます。下記の例は Salesforce の情報を Jira に連携するレシピです。レシピは「Salesforce にデータが作成された」「Jira で課題がクローズされた」など、アプリケーションで発生したイベントを起点にして処理を開始する事ができます。
リックソフトの Workatoの活用事例
条件分岐も下記の様に GUI で設定できます。
Workato導入のメリット:レシピ単位での管理体制
冒頭に記載した通り、ノーコードを利用した場合の短所は以下かと思います。
Workato はエンタープライズ向けのプラットフォームとして設計されているため、上記の課題に対応する機能が用意されています。Workato は自動化の実装を「レシピ」という物を作って実現します。
このレシピの管理が重要になりますが、管理者であれば全てのレシピを確認する事ができます。個人用のフォルダーに入ってしまって、確認できない様な事は有りません。また、Dashboard というレシピの稼働状況、エラーの状況を管理する機能が有ります。
ノーコードですとプログラムを作るよりも簡単にできるので「こんな事できたらいいね」という話から「じゃあ、やってみよう」という事になります。
そして、修正も用意なので継続して修正して改善していく事ができます。アジャイル的に、業務を改善していくことができているなと実感できています。
Workato はエンタープライズ向けのプラットフォームとして設計されているため、上記の課題に対応する機能が用意されています。Workato は自動化の実装を「レシピ」という物を作って実現します。
このレシピの管理が重要になりますが、管理者であれば全てのレシピを確認する事ができます。個人用のフォルダーに入ってしまって、確認できない様な事は有りません。また、Dashboard というレシピの稼働状況、エラーの状況を管理する機能が有ります。
プラットフォームとしてサポートされていない機能についてはworkato の場合色々と手段が用意されています。
先ず、用意されているアクションでの実現が難しい場合は、ユーザーが Ruby でスクリプトを書いて利用する事ができます。
Workato は Salesforce, Slack, Jira と言った人気の SaaS 製品 / アプリケーションののコネクターは標準で提供されているので、これらのアプリを利用する場合は簡単に自動化ができます。
DX化を目的としてKintone(キントーン)、SmartDB(スマートDB)を導入されている・またはこれから導入しようという企業も多いのでしょうか。それらをお使いの方は、Workatoとデータ連携できるコネクタをリックソフトは開発しております。
業務ワークフローの自動化にも一役担うWorkato、ぜひ導入を検討ください。
いかがでしたでしょうか。開発期間やコストの削減、内製化が可能になる一方、プラットフォーム依存や管理の煩雑さといった注意点もあります。
リックソフトでは、1000種類を超えるアプリケーションでクラウド・オンプレミスのアプリケーションと簡単に連携できるノーコードツール「Workato」を活用し、皆様の業務効率化を実現しています。
製品について詳しくはこちらをご覧ください。
WorkatoWorkatoを試してみたい方はこちら。
Workato無料トライアルご依頼フォームWorkatoに関する資料請求、製品デモ、お見積もりのご要望は下記リンクより承っております。
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アトラシアン社ではサポート範囲外となっているサードパーティ製のアドオンをリックソフトのサポートではサポートします。
リックソフトのサポートは開発元が提供するサポート以上の価値があります。
ツールを導入しただけでは成功とはいえません。利用者が効果を感じていただくことが大切です。独自で制作した各種ガイドブックはツール活用を促進します。
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