2023.07.31更新日:2023.09.29
現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進める企業が増えている中、システムの内製化が注目されています。
本ページではシステムの内製化によるメリット・デメリット、内製化を成功させるためのポイントを解説。さらに内製化をスムーズに推し進めるためのツールをご紹介します。
「内製化」とは、システムの開発や運用を外部の企業へ委託せずに自社内で行うことを指します。これまで日本国内では、自社のシステム開発はSIer(エスアイアー)に外注するアウトソーシングという形態が主流でした。
近年DXによりビジネス環境が急速に変化する中で、市場のニーズに合わせてビジネスモデルの変革や改善を検討する企業が増え、内製化もその一つとして検討されています。
システム開発を内製化するメリットとして、「柔軟かつスピーディーな開発が可能」「ナレッジやノウハウの蓄積」「トータルの費用の削減」の3つが主に挙げられます。それぞれ順に解説していきます。
自社でシステム開発を行う際、システムを実際に活用する現場のメンバーが携われば、現場の声を反映したより使いやすいシステムを構築できます。また外注先のSIerとの契約手続きやスケジュール調整といったやり取りを省略できるので工数や時間の削減にもつながり、より迅速な開発が可能となります。開発中の仕様の変更にも社内の調整のみで対応できるため、柔軟な開発が可能となるでしょう。
システム開発を全面的にアウトソーシングした場合、システムに精通した人材が社内におらず、当時アウトソーシングを担当したスタッフの退職や仕様書の不在により、時間の経過とともにシステムがブラックボックス化していく事態がよく報告されています。
システムの内製化によって社内メンバーが開発に携わり運用や保守業務まで行うようになれば、システムの内部に関するナレッジやノウハウの蓄積ができます。不具合が発生した際の原因や対応方法も容易に社内で共有できるようになるでしょう。
内製化を行い自社でシステムを開発、運用する場合、長期的にはコストの削減が期待できます。システム開発のような専門性の高い業務ならば、外注した場合に高額の委託費が発生し、保守、機能の修正など追加作業が発生することでさらに費用が上積みされていきます。システムの内製化により、IT人材の雇用や社内での教育、開発ツールの導入などの初期費用はかかりますが、長期的にはコストダウンを実現できるでしょう。
一方で、内製化を進めるにあたってはデメリットも存在します。「IT人材の確保や育成」「品質の維持」「作業の属人化」「離職リスク」の課題について、順に確認していきます。
自社内でシステム開発を行うには、専門スキルを持ったエンジニアが必要になります。IT人材が不足している現在、求めるスキルを持った即戦力となる人材は簡単に見つからないのが実情です。仮に採用できたとしても、優秀な人材に自社で働き続けてもらうには見合った給与を支払う必要があります。また研修によってメンバーに相応の知識や技術を習得してもらうためには、費用も時間もかかるため育成とシステムの内製化を同時に進めるのはなかなか難しいでしょう。
システム開発を外部のSIerに委託する場合、各社が設けている品質基準をクリアした製品が納品されるため、一定の水準が担保されています。一方自社内のエンジニアは、外注と比べて技術、実績、経験の面で不足していることが考えられます。そのためシステムを内製化する際にクオリティが落ちる可能性は否定できません。システムを長期にわたって運用し必要な保守や改修を重ねていくためには、自社エンジニアが見合ったスキルを身に付けていく必要があります。
業務の内容や進め方を特定のメンバーしか把握できていない状態を作業の属人化といいます。専門的な技術や知識が要求されるシステムの内製化では、限られた人員に業務が集中してしまい属人化を引き起こすリスクが考えられます。
また担当者が離職や異動によって業務を離れた場合に懸念される、システムのブラックボックス化は避けなければなりません。追加したい機能や修正したい仕様があってもシステムの中身を熟知したメンバーがいないため、手を出せなくなります。
このように内製化にはメリットとデメリットがあります。デメリットとなるリスクを避け、内製化の導入を成功させるためのポイントを紹介します。
内製化を進めるにあたって、まずは社内にあるシステムの棚卸しから始めると良いでしょう。現在使われているツールやドキュメントを把握し、稼働しているシステムの現状を確認します。最新版にアップデートされていないものや、社内全体で共有されていないものなど、システムの課題が整理されるはずです。
その上で、内製化の優先順位を考えます。基幹となり安定性が求められるようなシステムは、変化させずそのまま残しておいた方が良い場合があります。課題が多くボトルネックとなっている箇所、複数のものを一つのシステムに統合できる箇所などから順に、内製化を進めていきましょう。
自社内でシステムをスクラッチから開発する場合、プログラミングスキルを持つ人材が必要です。そうしたスキルを持つ人材を確保し、膨大な工数を掛けて開発を行うには時間もコストも掛かります。そこでIT知識がなくても簡単に利用できるツールを導入するのがおすすめです。
具体的には、プログラミング不要な「ノーコードツール」、内製化のためのノウハウやマニュアルを社内で共有できる「情報共有ツール」です。これらのツールを選ぶ際は、UI/UXに特化し誰もが視覚的・直感的な操作が可能なものを選ぶと良いでしょう。
システムの内製化のようなプロジェクトでは、チーム内でドキュメント書式やルールが統一されていなければ円滑な情報共有は望めません。重要なファイルやメールがいろいろな場所に分散していると、必要な情報にアクセスするにも時間が掛かってしまいます。また、ドキュメントやファイルが更新されても新しい情報がチーム内で直ちに認識されないことも考えられます。
これらの課題を解決し、効率的なコラボレーションを実現するのが企業向け情報共有ツール「Confluence」です。Confluenceには以下のような特徴があります。
Confluenceならシステム管理のノウハウやナレッジを体系的にまとめ、スムーズにメンバーへ共有できます。
システムの内製化に伴う開発の進行を管理するための強力なツールが「Jira Software」です。Jira Softwareはプロジェクト進捗や各メンバーのタスクを見える化し、チーム全体で情報を共有することができます。また、以下のような特徴を持っています。
Jira Softwareは短いサイクルでPDCAを繰り返すアジャイル開発を後押しする豊富な機能を備えています。