リックソフトブログ

2021年10月19日

Cloud Migration Assistant を使用した Jira と Bitbucket の Cloud 移行 〜後編〜

Author

大崎 健吾 Kengo Ohsaki

大崎 健吾</mt:Var>

  

こんにちは。
リックソフトの大崎です。

前編ではJiraとBitbucketのCloud移行のために知っておきたい知識をご紹介しました。
今回は実際に移行する手順をご紹介します。

■Jira Software Server の移行

まずは Jira Cloud Migration Assistant を使用して、Jira Software プロジェクトを Atlassian Cloud へ移行します。

この記事では Jira Cloud Migration Assistant の具体的な使用方法は記載していません。

詳細な手順については、弊社ドキュメントサイトの Jira Cloud Migration Assistant で移行する をご参考ください。


1. Jira Cloud Migration Assistant のインストール

Jira 8.14 以上のバージョンでは Jira Cloud Migration Assistant は元々インストールされていますが、Jira 8.14 以前のバージョンでは手動でインストールする必要があったり、移行実施時点での Jira Cloud Migration Assistant が最新バージョンである必要があります。

Jira アプリの管理画面を開き、Jira Cloud Migration Assistant をインストールします。


2. 移行の実施

Jira 管理画面、Jira Cloud Migration Assistant のページから移行を行います。

画面に従い移行先のサイトを指定します。

移行するプロジェクトを選択します。

移行するデータに問題ないことを確認したら、移行を実行します。

移行完了です。


3. Jira Software Cloud と Bitbucket Serverを連携してみる

Jira Cloud Migration Assistant を使用した Jira の移行が完了したので、Jira Software Cloud 側で課題を確認します。

Jira Software Cloud の課題を表示してみると、報告者や担当者、コメントなどの情報は移行されていますが、開発パネルに表示されていた Bitbucket の開発情報は表示されていません。

Jira Software Cloud の環境はまだ Bitbucket と接続していないので、開発に関する情報を連携できないためです。

Jira Software Cloud と Bitbucket Server のアプリケーションリンクを作成してみます。

Jira Software Cloud の製品管理画面 > 統合 > アプリケーションリンク のページから Bitbucket Server インスタンスのベース URL を入力し、新しいリンクを作成します。

Jira Software Cloud と Bitbucket Server のアプリケーションリンクが正しく作成されると、課題に開発情報が表示されるようになりました。

Bitbucket Server への OAuth を許可すれば、ブランチやコミットの詳細な内容も確認することができます。

これで、Jira と Bitbucket の移行に期間があいてしまっても開発作業は継続して進めることができます。

Atlassian Cloud と Server インスタンスを連携する場合は、Atlassian Cloud から Server インスタンスにアクセス可能な状態である必要があります。

具体的なアクセス要件については、クラウド製品からサーバー製品へのリンク の「サーバー製品にリンクするための要件」をご確認ください。

■Bitbucket Server の移行

続けて、Bitbucket Cloud Migration Assistant を使用して Bitbucket Server を Cloud へ移行します。

この記事では Bitbucket Cloud Migration Assistant の具体的な使用方法は記載していません。

Early Access Program (EAP) の状態のため変更される可能性がありますので詳細な手順については Use the Bitbucket Cloud Migration Assistant to migrate (英語) をご参考ください。


1. Bitbucket Cloud Migration Assistant のインストール

Bitbucket Cloud Migration Assistant は正式リリースされていないため Atlassian Marketplace からインストールすることはできません。

Early Access Program (EAP)サイトである Download the Bitbucket Cloud Migration Assistant (英語) のページからアプリの .jar ファイルをダウンロードし、Bitbucket 管理画面 > アプリの管理 画面から .jar ファイルをアップロードしてインストールしてください。


2. 移行の実施

Bitbucket 管理画面、Bitbucket Cloud Migration Assistant のページから移行を行います。

画面に従い移行先のワークスペースを指定します。

移行するリポジトリを選択します。

移行するデータに問題がないことを確認したら、移行を実行します。

移行完了です。


3. Jira Software Cloud と Bitbucket Cloudを連携してみる

Bitbucket Cloud Migration Assistant を使用した Bitbucket Server の移行が完了したので、Bitbucket Cloud 側でプロジェクト、リポジトリの情報を確認します。

対象のワークスペースを確認してみると、問題なくすべてのプロジェクトやリポジトリが移行されていました。

移行後の Bitbucket Cloud はまだ Jira Software Cloud と接続していないので、Jira Software Cloud - Bitbucket Cloud 間での連携はされていません。

Jira のアプリケーション管理画面 > 統合 > DVCSアカウント のページから、Bitbucket Cloud のワークスペースをリンクします。

ワークスペースとの接続が完了しました。

Bitbucket Cloud のワークスペースと接続が完了したら Jira Software Cloud と Bitbucket Server インスタンスのアプリケーションリンクを削除し、Jira Software Cloud - Bitbucket Cloud との連携として Jira 課題から開発情報を確認することができます。

■Bitbucket Cloud Migration Assistant を使用してみての注意点と今後に期待すること

今回ブログでご紹介した移行検証では、規模の小さい環境で検証をしてみたので比較的スムーズに移行することができました。

弊社内でもいくつかの移行検証をしてみましたが、シェルスクリプトや REST API を駆使したプログラムを作って移行するよりも、Web 画面の操作でプロジェクト、ユーザー、プルリクエストも移行することができるので非常に楽に移行することができました。

検証の中で気づいた注意点や今後に期待することをいくつか記載します。

Bitbucket Cloud Migration Assistant に関する注意点

  1. 社内にあるプロジェクトで移行検証時には、予期せぬエラーが発生し、ログなどから調査しても原因がよくわからず、アトラシアンにサポートを依頼して解消するケースがありました。
    原因は Cloud にユーザーの古いデータがあったようで、新データに同期していただくことで解消しました。

    a. Jira や Confluence の移行同様、アトラシアンにサポートが必要なケースもありますので、検証を確実に実施したうえで、必要に応じて本番移行日に向けて アトラシアンにサポートを依頼しましょう。

  2. 社内にあるプロジェクトで移行検証時には、リポジトリのデータ量もあり移行にそれなりに時間がかかりました。

    a. どのくらいのリポジトリサイズで何分程度かかるかは一概に見積ることはできませんが、移行検証時には本番作業に向けた時間計測が必要となります。

  3. Bitbucket Cloud Premium の機能である IP ホワイトリストの機能を使用している場合は、移行元の Bitbucket インスタンスの IP アドレスがホワイトリストに登録されていてアクセス可能な状態である必要があります。

    a. 特にBitbucket Cloud は AWS でホスティングされているため、移行元の Bitbucket を AWS で稼働している場合は AWS 間通信の IP アドレスとなっていたことがあるため注意してください。移行作業時のみ IP ホワイトリストの機能を停止することも 1 つの方法です。

  4. Bitbucket Cloud にはリポジトリサイズの制限があります。

    a. 詳細は リポジトリ/ファイル サイズにはどのような制限がありますか を参照してください。必要に応じて リポジトリのサイズを減らす の実施をご検討ください。

  5. Git LFS は現時点で移行対象ではありません。

    a. git lfs fetch --all、git lfs push --all コマンドで別途移行が必要です。

  6. 権限設定やアプリ、外部 CI との連携についても再設定が必要となります。

  7. 移行後には、クライアント側に存在するリポジトリのリモート URL 変更も必要です。
  8. リモート URL をリポジトリに変更する

Bitbucket Cloud Migration Assistant に期待すること

  1. Bitbucket には、 無料のクラウド移行トライアルを試す にある Jira や Confluence のような Server または Data Center ライセンスを持っているお客様向けの移行トライアルが用意されてません。Bitbucket Cloud Migration Assistant の正式リリース時に発表があることを期待しています。

  2. プルリクエストの作成者やレビュワー、コメントなどの移行。この機能は 2021 年の第 4 四半期にて提供される予定ですので、正式リリースには追加されていることを期待しています。

  3. 権限設定 の移行。今後のロードマップに計画がありますが、量によっては移行時に設定するのは大変なので、自動化されることを期待しています。

  4. Git LFS のサポート。

Bitbucket Cloud には CI ツールが統合されており、デプロイ可能な権限も設定することが可能といったメリットがあります。

また 最近のリリースと今後の新機能への取り組み に記載されているように、Bitbucket Cloud には今後も新しい機能が多く追加されていく見込みです。

Bitbucket Cloud Migration Assistant で移行できる情報も今後増えていくことで移行時のオーバーヘッドは減り、インスタンスの管理が不要な Cloud を使用する意義は大いにあるのではないでしょうかないでしょうか。

■移行に困らないために

現時点では Bitbucket Cloud Migration Assistant による移行は完全ではありませんが、お客様からのフィードバックにより改善されていくと思います。

まずは移行に対して何が問題となるのかを把握するために Bitbucket Cloud Migration Assistant で移行を試していただくことは有意義かと思います。

Bitbucket Cloud Migration Assistant による移行ができなくても、リポジトリインポーター を使用したり手動でのプッシュなどで移行する方法もあります。

リックソフト株式会社では、お客様のクラウド移行に対して、相談窓口や無料の簡易診断を行なっておりますので遠慮なく相談ください。

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本ブログのカテゴリ: Bitbucket Jira アトラシアンクラウド移行
  

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