2024.02.09更新日:2025.09.26
プロジェクトの長期計画を立てるときに作成する「ロードマップ」。
ロードマップはプロジェクトの骨子となる大切なものですが、「マイルストーンやスケジュールとの違いがよくわからない」「どのように作ればよいのかわからない」こういった方も多いのではないでしょうか?
この記事ではロードマップの基礎知識をわかりやすく解説します。プロジェクト管理の一手段として、ぜひ参考にしてください。
		
		
		
	
			「ロードマップ」とは、プロジェクトの開始から完了までの道筋を図解化し、チームに方向性を示すための地図や工程表です。通常、時系列に沿って目標達成のためのステップを視覚的に配置したものとなります。システム開発やアプリケーション開発などのプロジェクトにおいてよく使用され、これを参照することで関係者はどのようにプロジェクトが進行していくのか、全体の流れを理解しやすくなります。
ロードマップには大きく分けて2つの種類が存在します。ここでは2つの種類の特徴を説明します。
1つ目は「プロジェクトロードマップ」です。これはプロジェクトの全体像を管理するために作成されます。このタイプのロードマップには、プロジェクトの目標設定、必要なリソース、スケジュール、実施するタスクの概要が含まれます。一言で「ロードマップ」と言った場合、多くの人がこのプロジェクトロードマップのことを指していると考えてよいでしょう。このロードマップを活用することで、“何を”、“いつまでに”、“どうやって”達成すべきかといった目標や計画をチーム内で明確に共有することができます。
2つ目は「プロダクトロードマップ」です。これは製品の全体像を管理するためのものです。このロードマップには、製品のライフサイクル全般にわたる戦略や計画が盛り込まれています。
製品の開発戦略/計画のみでなく、顧客ターゲットといった営業戦略/計画、優先順位やステークホルダー(開発者、マーケティング担当者など)といった情報を含みます。そのため製品を開発していく場面のみでなく、商品を市場に投入していく際の戦略を検討するための資料としても使用されます。
プロダクトロードマップは製品を成功させるための指針となるため、開発部門だけでなくマーケティング部門など他の部門とも共有されることが一般的です。
| プロジェクトロードマップ | プロダクトロードマップ | |
|---|---|---|
| 目的 | 
                            
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ロードマップは、進むべき道のりを明確にし、関係者間の認識を統一するために不可欠なツールです。それぞれのロードマップには明確な役割があり、適切に管理することで、プロジェクトや製品開発の成功率を高めることができます。
ロードマップが自動で描けるプロジェクト管理ツール「Jira」 を良く知れる資料3点セットをダウンロードするロードマップとマイルストーンは似ているようで異なる概念です。一般的には、ロードマップがプロジェクトの流れといった「全体像」を描くのに対し、マイルストーンは具体的な「節目」や「中間目標」といった、プロジェクトのキーとなるポイントを示します。
| <例>システム開発プロジェクトの場合... | |
|---|---|
| ロードマップ | マイルストーン | 
						
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						ある時点の到達目標
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マイルストーンを設定することで、プロジェクトの進捗を正確に追跡し、全体のスケジュール調整を容易に行うことができます。
ロードマップとスケジュール表の違いは、スコープと詳細度にあります。
ロードマップが長期的な視野で「全体像」を捉えるのに対し、スケジュール表では短期的な「具体的なタスク」と「期限」を細かく設定します。
そのため、ロードマップは長期的な目標や戦略を考えるうえで役に立ちますが、日々のタスクの進捗を把握することができません。一方、スケジュール表は長期的な目標や戦略を考えるのには適していませんが、日々のタスクの進捗を管理するのに適しています。プロジェクトを進める上では、使用する場面に応じてこれらのツールを適切に使い分けることが重要です。
ロードマップが自動で描けるプロジェクト管理ツール「Jira」 を良く知れる資料3点セットをダウンロードするロードマップはプロジェクトの全体感を把握するために効果的なツールであり、その作成には多くのメリットがあります。ここでは、そのロードマップを作成するメリットについて3つ説明します。
ロードマップを作成することで、プロジェクトの最終目標と、そこに至る道筋を明確にすることができます。
具体的には、プロジェクトの全体像と目標を正確に把握することでその目標達成に向けた行動計画が立てやすくなります。そこからより具体的なタスクやスケジュールについても、全体のスケジュールや目標を踏まえながら効率的に決めることができます。またKPIといった、成果を測るための具体的な数値目標についても全体感を踏まえて設定することができます。
ロードマップを用いるとプロジェクトの全体像を把握できることから、長期的な視野で戦略や計画を立てやすくなります。また、現在直面している課題やその解決策についても長期的な視野で検討することが容易になります。
例えば、特定のタスクが予定よりも遅れていた場合でも、早期に察知し、プロジェクトの全体計画を踏まえて改善策や代替策を計画的に練ることができます。
ロードマップをプロジェクトメンバー全員で共有することで、同じ方向を向いて効率的に作業を進めることが可能になります。
これにより、認識のズレを防ぎ、認識相違によるタスク遅延ややり直しといった多くの問題を未然に防ぐことができます。加えて、ロードマップをクライアントと共有することで、最終成果物の内容についての目線を合わせながら、プロジェクトを堅実に進めることができます。
ロードマップが自動で描けるプロジェクト管理ツール「Jira」 を良く知れる資料3点セットをダウンロードするロードマップは、プロジェクトの全体像を関係者と共有し、目標達成までの道筋を示す重要なツールです。作成する際は、計画を立てるだけでなく、運用面も考慮することが成功の鍵となります。
「売上を増やす」「顧客満足度を上げる」といった定性的な目標では、進捗を客観的に評価できず、関係者間の認識にずれが生じる可能性があります。目標は「売上を前期比で200万円増やす」「顧客満足度を5%向上させる」のように、具体的な数値で設定することが重要です。これにより、マイルストーンの設計が容易になり、スムーズな進捗管理が可能になります。
ロードマップは詳細なタスク管理表ではなく、全体像を把握するためのものです。タスクを日単位で細かく記載しすぎると、計画が複雑になり、予期せぬトラブルが発生した際に修正が困難になります。ロードマップには重要なマイルストーンや主要な工程に絞って記載し、数ヶ月単位の大まかな流れを示すことで、柔軟性を持たせることが大切です。
プロジェクトは常に変化するため、ロードマップは一度作成したら終わりではありません。プロジェクトの進行状況に合わせて、定期的に見直しと更新を行いましょう。月次や四半期ごとにロードマップをレビューし、必要に応じて調整することで、計画との乖離を防ぎ、プロジェクトを円滑に進めることができます。
ロードマップは、プロジェクトに関わるすべての関係者が同じ方向を向いて進むための羅針盤です。作成後は必ず関係者と共有し、フィードバックを取り入れましょう。これにより、チーム全体の認識を統一し、共通の目標に向かって協力し合う体制を築くことができます。
失敗しないロードマップの作成方法は、一連の計画的なステップを踏むことで実現されます。ここではその一連のステップについて、6つに分けて解説します。
まず、プロジェクトのゴールと達成期限を設定します。この際、ゴールはできるだけ具体的かつ定量的なものとするとよいでしょう。また、計画段階から無理をしないと達成できない期限設定としてしまうと、何か問題が生じた場合に対応できません。現実的な期限設定をするというのも重要なポイントです。
プロジェクトの着地点を決めるという非常に重要な工程のため、クライアントやステークホルダーとの十分に認識合わせを行ったうえで進めましょう。
次に、現状を正確に分析します。設定したゴールと現状とのギャップや、プロジェクトのメンバー構成や予算など、関連する情報を定量的・客観的に把握することが重要です。この分析が不十分だと、途中でスケジュールに狂いが生じがちです。
プロジェクトを進めていく上では、様々なリスクが想定されます。リソースや予算確保の問題やスケジュール遅延、追加ニーズや検討漏れの発生など、具体的なリスクを事前に把握し、対処策を準備しておくことでプロジェクトの安全性を高められます。
達成すべきゴールから中間目標であるマイルストーンを定めます。これは進捗管理をしやすくする目的もありますが、中間目標を設定することでチームのモチベーション維持を行うことも目的の1つです。マイルストーンは、一週間・一か月・一年などの区切りのよい時期や年度末のような節目に設けるのがよいでしょう。
目標達成のための工程を時系列に沿って図表化し、プロジェクト全体を「見える化」することで全体感を把握しやすくなります。この「見える化」にはガントチャートやフローチャートといったツールを使うことが一般的です。今日ではJiraのようなプロジェクト管理ツールを用いると、複雑なガントチャートなどを簡単に作成することができるので、このようなツールを導入するのもオススメです。
新入社員がJiraとWBSガントチャートでプロジェクト管理をしてみた【前編】
最終的に完成したロードマップを、プロジェクト関係者と共有します。開発チームのみならず、クライアント、ステークホルダーなどの間で共有し、意見取り入れ改良を加えることで、より精度の高いロードマップを作ることができます。
ロードマップが自動で描けるプロジェクト管理ツール「Jira」 を良く知れる資料3点セットをダウンロードするロードマップの作成は、目的やプロジェクトの特性に合わせてフレームワークを使い分けることが重要です。ここでは、目的別にロードマップの作成に役立つ代表的なフレームワークをご紹介します。
ガントチャートは、プロジェクトのタスクとスケジュールを可視化するためのフレームワークです。各タスクを縦軸に、期間を横軸に配置することで、いつ、どのタスクを、どれくらいの期間で進めるべきかが一目でわかります。全体の進捗状況を把握しやすく、タスク間の依存関係も明確にできるため、複雑なプロジェクトを管理する際の羅針盤として最適です。
WBSは、プロジェクト全体の作業を細かく分解していく手法です。最終的な目標を達成するために必要な作業を、階層構造で洗い出します。これにより、プロジェクトの全体像が明確になり、タスクの漏れを防ぐことができます。また、各作業に担当者や期限を割り当てることで、効率的なチーム運営を可能にします。ロードマップの骨子を作る上で、最初に検討すべきフレームワークの一つです。
フローチャートは、プロセスや手順の流れを図で示す手法です。ロードマップにおいては、特定の作業や意思決定がどのような順序で行われるかを図示する際に役立ちます。これにより、複雑なプロセスをシンプルに理解でき、チーム内の認識齟齬を防ぐことができます。特に、タスクが多くの部門や関係者にまたがる場合に、その連携を明確にするのに効果的です。
OKRでは、定性的で野心的な「目標(Objectives)」と、その達成度を測るための定量的で具体的な「主要な結果(Key Results)」を設定します。
ロードマップ作成にOKRを導入することで、単に「機能を開発する」といったタスクの羅列ではなく、「なぜそのタスクが必要か」という目的意識を明確にできます。プロジェクト全体がどこに向かっているのかを共有しやすくなり、チームメンバー一人ひとりが目標達成に貢献しているという実感を得ることにも繋がります。
ロードマップは、システム開発やアプリケーション開発プロジェクトを進めるうえで欠かせないものです。本記事を参考に、失敗しないロードマップの作成方法を実践し、あなたのプロジェクトを是非成功に導いてください。
また、近年ではこのロードマップ作成を協力に支援するプロジェクト管理ツールも登場しています。その中でも特におすすめなのが『Jira』です。

		Jiraを使うと、ロードマップを直感的に可視化し、計画からレポーティングまで一連のプロジェクト管理業務をシームレスに行うことができます。また、Jiraは拡張性の高さも特徴であり、豊富なアプリと組み合わせることで機能をカスタマイズ可能です。
例えば、イナズマ線が特徴のガントチャートを使ってプロジェクトを詳細に表示・管理したい場合、リックソフトが開発した「WBS Gantt-Chart for Jira」を利用できます。

		また、「Timesheets」というサードパーティーアプリを利用すると効率的に工数管理を実施できます。

		Jiraを活用することで、あなたのプロジェクト管理はもっともっとしやすく、かつプロフェッショナルなものへと進化します。リックソフトではJiraの導入事例も豊富であり、社内での活用にあたって手厚いサポートが可能です。
興味を持たれた方は、是非お気軽にお問い合わせください!