2023.11.10更新日:2024.03.01
「チケット管理ツール」という言葉を聞いたことはあるものの、「チケットって何をするの?」「何をやっているの?」「どんなメリットがあるの?」このような疑問を持っている方は多いかもしれません。
チケット管理ツールはプロジェクト管理ツールの一種です。近年、業務効率化施策の一環として導入する企業が増えつつあります。また、社内や社外の問い合わせ管理にチケット管理ツールを導入するケースも増えています。
この記事ではチケット管理の基礎知識や導入するメリット、選び方のコツ、注意点などを一通り解説します。プロジェクト管理手段の一つとしてチケット管理ツールを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
チケット管理ツールとは、プロジェクト管理ツールの中でも、“タスク”を中心とする管理ツールの一種です。
プロジェクトを進める中で日々生まれる課題やタスクには、「どんな作業をして」「誰が」「いつまでに」「何を完成させるか」といった要素を含むことが一般的です。これらの要素を1つの“紙”のようなページにまとめたものを、プロジェクト管理用語で「チケット」と呼びます。
各タスクをこのチケット形式で管理し、チケットの状況を管理することでタスク数や進捗状況を管理する仕組みとなっているのがチケット管理ツールの特徴です。
そのため、「チケットソフトウェア」「チケットサポート」「課題管理ツール」といった呼び方をすることもあります。
また、課題やタスク管理以外に、問い合わせ管理をチケット管理ツールで行うケースもあります。Excelを使って社内の問い合わせ管理を行っていたものの、1つのExcelファイルに対する更新の競合が多発したり、問い合わせの調査・進行状況がわかりにくいという点などから、管理・運用に限界を感じてチケット管理ツールへ移行するケースが多いです。
この場合、メールや電話、チャット、口頭での問い合わせなどを「1チケット」という単位で扱い、一元的に状況を管理します。この場合は、「ヘルプデスクチケット管理システム」と呼ばれることもあります。
チケット管理ツールは、当初はシステム開発の現場で使われていたものでした。しかし、近年はその有用性や汎用性が注目され、システム開発以外の現場でも利用場面が拡大しており、チケット管理に特化した便利なツールも多数登場しています。
<<こんなケースはありませんか?>>
あるウェブサービスで商品が届かなかったため、手順に沿ってフォームで報告をしたら、自動返信メールで「お客様のリクエストはチケット番号(RICK-0001)に登録されました。お電話口で問い合わせの際はこの番号をお申し付けください」という案内がきた。
これも、企業がチケットシステムを使って問い合わせを管理しています。
では、ここからはチケット管理ツールを導入するメリットを4点解説していきます。
チケットの発行数や処理数から、全体の進捗状況を簡単に把握することが可能になります。
例えば、未処理となっているチケットを確認すれば、残りのタスクをすぐに把握することができます。また、チケットのカテゴリ毎の処理状況を確認すれば、どのエリアが順調でどのエリアが苦戦しているのかなど、細かい状況も簡単に把握することが可能です。
その結果、進捗状況を確認する時間が短縮され、課題・仕様の検討や開発作業など別の業務に時間を充てることが可能になります。
チケット管理ツールを使う際は、チケットに、「いつ」「誰が」「何をして」「どのようにタスクを進行したのか」を記録して運用します。
この運用を続けていけば、各メンバーが担当している仕事を「見える化」することができます。
チケットはメンバーであれば誰でも確認可能なため、情報共有不足によるトラブルを防ぐ、過去の経緯の振り返りが簡単に可能になる、改善事項・成功事例の共有がスムーズになる、といった利点が生まれます。
現場では、類似の問い合わせがたびたび発生することが想定されます。その際、いつも同じ誰かに対応を任せており、「その人しか回答方法を知らない」といった状況にとなっていないでしょうか?
チケット管理ツールを導入すれば、過去の類似のチケットを確認することで、対応に至るまでの手順を誰でも把握することができます。この結果、業務の効率化やナレッジの共有を進めることができます。
チケットに「実作業時間」や「かかった費用」を記録しておくことで、時間やコスト管理を容易にすることができます。
チケット管理ツールでは各問い合わせの対応内容をチケットに記録して運用するため、問い合わせにかかった時間やコストといった“実績”も簡単に記録することができます。
どの問い合わせにどれだけの時間やコストがかかったのかを記録に残すことで、次に同様の対応を行う場合の時間・コストの見通しや、対応する要員の計画を立てやすくなります。
また、コストがかかる問い合わせ内容を把握し、その問い合わせを減らすための打ち手を講じることも可能になります。
チケット機能搭載の問い合わせ管理ツールには、問い合わせをチケットベースで管理する以外にも様々な機能が含まれていることがあります。全ての機能を最初から利用する必要はありませんが、チケット管理ツールの特徴を踏まえて上手に活用することで、柔軟に業務改善を進めることが可能です。
例えば、豪Atlassian(アトラシアン)社が開発し、グローバルで使用されている問い合わせ管理ツール「Jira Service Management」では、以下のようなことが実現可能です。
また、自社の業務に合わせて機能のカスタマイズも可能であり、この柔軟性も利点の一つです。
ここからは、チケット管理ツールを選ぶときのポイントを5点解説します。
チケット管理ツールを選択する際、製品ごとの違いを考える上でも是非意識してみてください。
基本的な点ですが、ツールを導入しようとしているプロジェクトにとって必要な機能が備わっているかどうかを確認しましょう。
例えば、「問い合わせをチケット管理したい」と考えている場合だと、以下のような点が大切になってきます。
「問い合わせ管理を高度化したい」という目的であれば、「Jira Service Management」のような問い合わせ管理に特化した機能を備えている製品を選ぶのがよいでしょう。チーム毎にサービスデスクを簡単に立ち上げられる機能や、問い合わせ時のテンプレートを作成する機能等があると、ツールの導入を簡単に始められます。
また、問い合わせのカテゴリ毎に傾向を集計・分析できる機能があれば、その後の問い合わせ業務の効率化につなげることができます。どこまでの機能が必要かも含め、よく検討しましょう。
問い合わせ管理ツールの中には、予めSLA(Service Level Agreement:サービスレベルアグリーメント)を設定し、そのSLAに沿って問い合わせの対応期日や優先度を決めてくれる機能もあります。
各問い合わせの結果を分析し、どの程度SLAに沿ったサービスを提供できているかを振り返ることができる機能もあります。サービスを継続的に提供する上で、サービスレベルの維持・向上は重要な要素となりますので、これをツール上で管理できるのも大きな利点になります。
将来的に“問い合わせ自体を減らして業務の効率化を図りたい”といったケースも想定されます。この場合は、ユーザーが自ら調べ、一定の内容であれば自己解決を可能とするナレッジ共有の仕組みがあるかといった点も重要なポイントになります。
「問い合わせの窓口として、社内のメール、チャットツール、サービスデスク、ポータルサイト等様々なツールが考えられます。実際の現場で使われているコミュニケーションツール(TeamsやSlack)やカレンダーツール(Google Calendarなど)、ナレッジマネジメントツール(Notion)などのSaaSとの連携性も、利便性を考えると重要なポイントです。
チケット管理ツールの機能は多岐にわたるため、“そのツールを入れることによって最終的に何を達成したいのか”という目線を基に、自社に必要な機能を明確にしてから比較するとよいでしょう。
チケット管理ツールの利用には、多くの場合、月額料金や年額料金が発生します。OSS(オープンソースソフトウェア)製品をはじめとして、ユーザー数次第では無料で使えるツールもあるなど、料金体系はさまざまです。
予算を算出する場合は、導入時の体制だけではなく、「数年後の会社・組織の実態」も併せて計算しましょう。
例:現在の部門は20人。問い合わせ担当者は1人なので、チケット管理ツールはではなくチャットで十分だ。だが、3年後の組織変更では200人の対応をするので、問い合わせ担当者を増やした方がよい。
これ以外にも、管理可能なプロジェクト数や、ストレージの容量、添付できるファイル数などに左右されるツールもあります。
利用人数・範囲によっては割安、もしくは無料で利用できるものもあるので、想定される利用用途をよく考えた上で、情報収集をしましょう。
チケット管理ツールを導入した後、実際にツールを使って問い合わせ等を行うのは不特定多数の社員になることが一般的です。そのため、非IT系の部署の方のようにITリテラシーがそこまで高くない人が利用する際のことも考えて導入を検討しましょう。
例えば...
といった点が大切になります。
さらに、教育研修サポートが提供されており、誰でもスムーズに使い始められる・困った時に相談できる体制があるかという点も、利用していく中での使いやすさにおいて重要なポイントです。
また、操作方法ではなく、日常的に使っているデバイスでの利用が可能かという点もツールを利用するハードルを下げるためには大きな要素です。
製品の特性やサポート体制を理解し、時には『実際に問い合わせを行う人』の声にも耳を傾けつつ、じっくり検討しましょう。
最後に、無料体験期間の有無も、導入を検討する際には大きなポイントです。
無料体験期間に実際に利用し、使用感を確認してから導入すれば、“ツールを導入したはいいが、使いこなせない”といった失敗を避けることができます。
また、この期間に必要な機能・料金体系・製品サポート対応の見極めができる、というのも大きなメリットです。
チケット管理ツールを問い合わせ管理業務に導入すると、タスク問い合わせ管理の高度化やサービスレベルの向上を実現することが可能です。一方で、ツールを導入・運用するにあたっての注意点・懸念点も存在します。
ここでは主な2つのポイントを解説します。
チケット管理ツールを導入した場合、問い合わせをしたいスタッフがリクエストチケットの発行を行い、問い合わせに対応するメンバーがそのチケットを対応することになります。
そのため、リクエストチケットへの必須入力項目が多すぎると、問い合わせ毎に入力の手間がかかり、かえって業務効率が悪くなる可能性もあります。
また、対応者が入力が手間という理由でタイムリーな更新がされなくなると、チケット上の記録と実態にズレが生じ、正確な状況を把握できなくなる恐れも出てきます。
このような状況を避けるためには、事前に最低限の入力必須項目を決める等、過度な負荷にならない範囲での入力ルールの策定を行うことが大切です。
また、対応する側も定例ミーティングや朝・夕の振り返りの際にチケットを更新する時間を設けるなど、ルーティン作業に落とし込んで無理なくチケットを更新していく運用を考えるとよいでしょう。
チケット管理により全体的な問い合わせ量や個々の対応状況が見えやすくなる反面、問い合わせ同士の関連や重要度・難易度が見えにくくなる恐れがあります。
例えば、同じレベルの緊急度の問い合わせが複数ある場合でも、チケットとしては同列に扱われるため、その問い合わせ間での優先度が見えなくなることが考えられます。
また、問い合わせをチケット数だけで管理していると、メンバーが簡単な問い合わせから完了させてしまい、難しい問い合わせに着手するのが遅くなったり、最後まで片付かない、といった状況が生じる可能性もあります。
問い合わせ業務を行う上では、チケット管理ツールを使いつつも、これらのチケットで表現しにくい点についてはメンバーと密にコミュニケーションを取りながら進めていくのがよいでしょう。
また、チケット同士の関連を、タグや親子関係等で表現できる機能を持った問い合わせ管理ツールもありますので、運用ルールを決めて活用していくのも一つの選択肢です。
ここもプロジェクト管理ツールのままになっているので変更お願いします。
ここまでチケット管理ツールについて解説してきましたが、チケット管理ツールがどのようなものか理解できましたか?
チケット管理ツールは、“タスク”を中心に考えるプロジェクト管理ツールの1つです。タスクを起点としたプロジェクト進行状況や問い合わせ対応状況を管理しやすくなるのは大きなメリットである一方、運用していく上でのデメリット(注意点)もあります。
チケット管理ツールを導入するにあたっては、自社で「チケット管理ツールで何を実現したいか」「チケット管理ツールをどのように使いたいか」をよく考えて、比較検討することが大切です。
Ricksoftは、プロジェクト管理ツールの世界的大手であるAtlassian社のソフトウェアを取り扱っています。
特に、「Jira Service Management(ジラ・サービスマネジメント)」は、カスタマーサポートでのチケット管理に便利なツールです。ワークフロー機能やレポート分析機能など、問い合わせ業務で必要とされる機能も充実しています。
Ricksoftでは「Jira Service Management」の導入事例も豊富、また、導入から利用までの教育研修サポートや無料体験期間も充実しているため、チケット管理ツールの導入を考えている場合は、是非選択肢の1つとしてご検討ください。