2024.04.23更新日:2026.02.12
情報システム部門がビジネス部門に対して提供する業務を総称して「ITサービス」といいます。IT人材が不足している昨今、ITサービス提供における業務効率化・生産性向上について、よくある課題をベースにITサービスマネジメント(ITSM)についてご紹介します。
今の業務の効率化・生産性向上のヒントにしてください。
ITサービスマネジメント(ITSM)とは、ITサービスの提供と改善を継続的に行うプロセスです。
このようなツールやサービスをいつでも快適に使えるように、IT部門がユーザー向けに運用していく仕組みのことを「ITサービスマネジメント」といいます。ビジネス目標にITを適合させ、価値を最大化することを目的とします。
DX推進においては、ITサービスマネジメントを安定させることは、変化に強い基盤作りに直結します。
ITサービスマネジメント(ITSM)と似た用語として「ITIL(アイティル)」があります。ITサービスを効率よく・効果的に運用しようとした先人たちが経験した「失敗」や「成功」を集めて、「こう動けばうまくいく」という共通のコツ「ベストプラクティス」34個がまとめられています。
業務を効率化するDX(デジタルトランスフォーメーション)がデジタル技術でビジネスを革新する「攻め」の活動なら、ITSMはその変革を支え、走り続けるための「守りの基盤」です。この両者は、いわば車の「エンジン」と「車体」のような相互関係にあります。
具体的に、ITSMはDXの3つの柱を強力にバックアップします。
DXを進めるうえで、これまで蓄積したナレッジとバラバラになっているITシステムをひとまとめにできるのが、ITSMツールなのです。
DXを進める際、多くの企業が「新しい技術を入れたのに、なぜか現場が混乱している」という壁にぶつかります。それは、DX推進の障壁となる「システムのサイロ化」が起きているためです。ITSMはプラットフォーム統合による情報の一元化で横断的な可視化を実現します。
「手作業の人的ミス」は、定型業務のワークフロー化とAIによる自動化で排除。さらに、特定の人に依存する「属人化」も、ナレッジ管理によって知恵を組織の資産に変えることで解決します。ITSMはカオスな現場を整え、DXを加速させる「仕組み」を提供します。
生成AIがこの2年で大幅に進化しました。ITSMツールは、この技術進化を取り入れております。
生成AIは、蓄積された膨大なナレッジを学習し、分類・定型アクションをすることを得意とします。ITSMツールに蓄積された過去のトラブルデータから予兆を察知し、未然に防ぐ運用につなげていきます。最新技術を取り入れたITSMは、DXを加速させる強力なエンジンへと進化を遂げているのです。
特にクラウド型のITSMツールは、エンドユーザーがどこからでも問い合わせられるというユーザービリティに加え、最新AI技術を自動で取り入れるという特質を持っています。
ITSMツールを導入のメリットとして、
が挙げられます。
無駄な時間を削減し、本来注力すべき創造的なDX業務に集中できるのが最大のメリットです。
トラブル発生時にマニュアルがあることでスムーズに対応でき、顧客満足度が向上する

ITIL準拠の運用により、インシデントの発生を抑制できる

社員や顧客からの問い合わせに対し、個々でそれぞれが対応していては管理も難しく漏れが発生する危険性も出てきます。
また、同じような質問が何度も来る場合、同じ答えを返すだけとはいえ非効率です。
こうした問題はITSMツールを利用する事で解決することができます。
具体的なユースケースについては、【5分で解説】ITIL(アイティル)の具体的利用シーンとは!?【ITサービスマネジメント】で詳しく紹介していますが、ここでも簡単にご紹介します。
社員は口頭やメールでリクエストをしてくるから、誰がどの困りごとにいつ対応するか・いつまでに対応しないといけないかの管理が大変。
「誰かが対応していると思ったら誰も対応していなかった」など、対応漏れが発生していませんか?

こういった課題には、リクエストを「チケット」単位で管理できる「サービスデスク機能」で解決できます。
どんな問い合わせもとりあえず受け付けるという総合窓口を設定し、リクエストやインシデントを収集することができます。
AIのFAQ機能搭載のものを選べば、問い合わせ者の自己解決を促せます。
顧客からも社員からも、
「スキャナがうまく作動しない」「パスワードがわからない」など、同じような質問の対応に時間を浪費しているということはありませんか?

ITSMツールのなかには、利用者が質問内容を入力すると、それに近い内容が「よくあるお問合せ」として表示されるポータルサイトを用意できるものがあります。
また、リクエストの種類にあわせたフォームを設定し、項目に従って入力してもらうことで、不足情報を確認するための作業を省くことができます。
自社に最適なツールを選ぶには、まず機能性と使いやすさのバランスが重要です。
現場が直感的に操作でき、必要なITILプロセスを網羅しているかを確認しましょう。
次に、将来的な組織拡大に耐えうる拡張性と、既存システムとの連携機能を評価します。すでに利用している既存システムを一度洗い出し、アドオンやプラグイン、コネクタで連携できるかも確認してください。
独自の業務フローに合わせるカスタマイズ性も重要ですが、複雑すぎると導入コストや運用負荷が増大するため注意が必要です。万一の際のサポート体制を含め、トータルコスト(TCO)で見極めることが成功の鍵となります。
もちろん、社内のセキュリティ要件を満たすかどうかも必ず確認してください。特に近年、企業向けのサイバー攻撃が年々激しくなっています。
| 比較項目 | クラウド型(SaaS) | オンプレミス型 |
|---|---|---|
| 導入スピード | 非常に早い(数日〜数週間で開始可能) | 遅い(ハード調達・環境構築で数ヶ月) |
| 初期コスト | 低い(月額/年額の利用料のみ) | 高い(サーバー購入・ライセンス購入費) |
| 運用負荷 | 極めて低い(ベンダが更新・保守を実施) | 高い(自社でアプデや障害対応が必要) |
| セキュリティ | ベンダの対策に依存(高度だが社外保管) | 自社ポリシーを完全適用可能(社内保管) |
| 拡張性 | 高い(ユーザー増減もボタン一つ)*AIの進化とともに機能が自動追加される | 低い(サーバー増設など手間がかかる) |
| 依存度 | 必須(ネット断絶で利用不可) | 不要(社内LANのみでも動作可能) |
リックソフトは、AI時代のITSMツールとして Jira Service Management(Service Collection)をおすすめしています。
開発チームと共通の基盤で動くため、部門を跨ぐ外部連携も極めてスムーズ。高額なコンサルティングや複雑な設定を必要とせず、スモールスタートから組織に合わせて自在に拡張できる「アジャイルな運用」を実現します。
< ケース >
1つのリクエストに対し「1つのチケット」が起票されます。
そのチケットに担当者を割り振るので、誰がどの案件に対応しているかが可視化できるようになります。
サービスデスク担当者だけで解決できない、専門知識が必要となるようなリクエストに対しては
Jira Service Management上で専門チームに確認後、ユーザーに回答できます。
リクエストした人に、内部のやり取りを見せずに、回答だけを送れるようになっています。
< ケース >
リクエストの回答や対応内容をナレッジとして蓄積して有効活用するのもサービスデスクの業務の一つです。
Jira Service Managementではテンプレートを使ってリクエスト受付サイトを作ることができます。
【ユーザー】
↓利用者はここから質問や依頼を登録できる
フォーム送信だけでなく、今まで通りメールやチャットでリクエストを送信することもできます。
そのリクエストは Jira Service Managementを通すことによって「チケット」になり、
管理者は単一の窓口からリクエストの受け取り・回答が可能になります。
【ユーザー】
↓運用に合わせてメニューやリクエストフォームが作れる
↓不具合の内容や影響を受けるサービスをソートして検索できる
A:ITSMは活動そのもの、ITILは成功事例集。
リックソフトではITSMツール「Jira Service Management」の構築支援・構築伴走支援サービスを提供しています。
ITILとITSMにまつわる、よくある質問をまとめました。
ITSMは「ITサービスを管理・運用する実際の活動そのもの」を指し、ITILはそれを成功させるための「攻略本(ベストプラクティス集)」です。
ITがビジネスの現場に普及してから、これまで何十年もの間、人々はこれらの管理に苦しめられてきました。先人の失敗と試行錯誤を経て導き出したベストプラクティスを、34の分野でまとめています。
A:規模が大きな企業ほど成果を出します。
ダウンタイム削減という一面でも、AI・FAQによる自己解決率が向上し、全社員の待ち時間を減らすことができています。例えば1000人規模の組織で1人あたり15分の待ち時間が削減されるだけで、年間3000時間の労働価値が創出されたといえます。
A:中小企業こそITSM導入が必要!
管理するIT資産が大企業ほど多くないため、紙の帳簿や人力でITサービスマネジメントを行いがちです。しかし、中小企業こそリソースが限られているため、ITSMによる「業務の自動化」や「情報の集約」が大きな武器になります。少人数での属人化を防ぎ、トラブル対応を効率化することで、本来注力すべき本業やDX推進に貴重な時間を割けるようになります。