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構成管理の基礎知識
|必要性や管理項目、管理ツールについてわかりやすく解説

2024.02.16

IT技術の進歩と複雑化により、ITシステムの構成管理がより一層必要とされています。とはいえ、「IT資産管理だけでは不十分なの?」「どのような情報をどうやって管理すればいいの?」このような疑問を持っている方もいるでしょう。

この記事では、構成管理の基礎知識を解説します。この記事が自社のIT管理体制を改善・強化するための一助となれば幸いです。

構成管理の基礎知識|必要性や管理項目、管理ツールについてわかりやすく解説

IT分野における構成管理とは

IT分野における構成管理とは

IT分野での構成管理とは、システムを安定して稼働させるために必要な「構成アイテム(CI:Configuration Item)」を管理し、各CIの依存関係を明確にすることを指します。これにより、システムがどのように構成され、システムの回収があった場合にどのCIが影響を受けるのかを迅速に把握することができます。CIを日ごろから管理することにより、ITサービスの確実かつ効率的な提供へと繋げられるのです。

CIには物的資産情報的資産の2つの種類があります。

物理資産 ハードウェア 物理的なサーバー、ワークステーション、ルーター、スイッチなど、ネットワークに接続されている物理機器。
周辺機器 プリンター、スキャナー、外部ストレージなどの入出力デバイスや、システムの機能をサポートするための追加機器。
情報資産 ソフトウェア オペレーティングシステム(OS)、アプリケーションソフトウェア、データベース管理システム(DBMS)など、システム運用に必要なプログラム群。
各種ライセンス ソフトウェアや特定のサービスを利用するために必要な使用許諾や契約書。

いずれもITシステムを運用する上で正しく管理することが重要です。

こうしたCIの詳細情報は、CMDB(Configuration Management Database; 構成管理データベース)に集約して管理されます。

CMDBは、CIの属性や関連性、履歴を一元管理するデータベースであり、ITサービスの品質管理や問題発生時の原因追及、変更管理の基盤となります。ITの国際規格であるITIL4においても、CMDBの設計と維持管理がITサービスマネジメントの核として定義されており、その重要性が強調されています。

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構成管理とIT資産管理の違い

構成管理とIT資産管理の違い

構成管理とIT資産管理は、両者ともにITサービスを構成するアイテムに関わる管理業務ですが、主な目的に違いがあります。

構成管理の目的は、ITサービスの品質向上や効率化などITサービスを運用・提供する上での最適化に焦点を当てています。ここでいう「ITサービス」とは、情報システムを通じてユーザーに提供される機能やデータのことであり、これをスムーズに行うためには、各構成アイテム(CI)がどのように相互に関連し合っているのか把握しておく必要があります。

そのため構成管理においては、システムが正常に機能するための基盤を維持するために、構成情報をまとめて管理することもあります。この場合、ソフトウェアのバージョンやパッチ適用状況、ハードウェアのスペックや設定情報といった相互に影響を及ぼしあうCIをまとめることが多いです。

一方で、IT資産管理はCIを会社の「資産」とみなし、購入コスト、減価償却、保証管理といった財務・経理活動における最適化、またIT資産の利用におけるコンプライアンス遵守を目的としています。具体的には、ライセンスの有効期限や保守契約の満了をきちんと管理することで、会社の財政状態や法的要件に基づき適正な範囲で資産を保有・契約等の更新を行うために役立てるものです。

目的は違いますが、“ITサービスを構成するアイテムを管理する”という点では共通しているため、両者を連動させながら管理体制を構築していくことが大切です。

構成管理が必要な理由

構成管理が必要な理由

ITサービスを取り巻く環境は日々進化しており、様々な変更が繰り返し行われています。

そのような環境において、システムが安定して機能し続けるためには構成管理が不可欠です。最新のシステム構成情報を正しく把握・管理することで、システム運用時のトラブルを未然に防ぎ迅速な対応が可能となります。

よくあるケースとして、システムの一部を変更した場合に他の構成要素に予期せぬ影響を及ぼす状況が挙げられます。

例えば、あるシステムのソフトウェアのアップデートを行った場合に、別のソフトウェアが正常に動かなくなってしまうといったトラブルはシステム開発においてはしばしば発生します。このようなケースでも構成管理によって各構成要素の関係性を正確に把握していれば、影響を予測しつつ他のシステムとの相性を事前に検証することで、トラブルを回避することが可能になります。類似の例としては他にも以下のようなトラブルが考えられるでしょう。

<構成管理を怠った場合に起こりうるトラブルの例>

  • サービス停止・遅延
  • アップデート時の不具合により、システムが突然停止したり、処理がスローダウンしてしまい、サービスが通常通り提供できなくなる。ライセンス違反はIT資産管理よりの内容と考えられるため削除しました。

  • セキュリティリスクの増大
  • 古いセキュリティ設定のままシステムを運用し、外部からの攻撃に弱くなる。

  • データの不整合・破損
  • 互換性のないソフトウェアを同時に使用することで、データの不整合や破損が生じる。
    これらのトラブルを予防し、効率的に対応するために構成管理は極めて重要です。事前に情報を収集・整理し、万全の体制を整えておくことが、安定したITシステムを維持しビジネスの持続性を確保する上での鍵となります。

構成管理の管理対象となる項目

では、実際に構成管理を行う際はどのような項目を管理する必要があるのでしょうか。ここではその管理すべき項目を5つ解説します。

ハードウェア

構成管理をする上では、システムを物理的に構成するハードウェアの情報を管理することが必要です。ハードウェアの管理には、各デバイスの特定可能な情報が求められます。これには、社内管理番号や資産管理番号のような社内でそのハードウェアを識別するための名前や通番、またメーカー識別番号や型番などの外部情報も含まれます。

<具体例>

  • 社内での識別名(社内管理番号、資産管理番号など)
  • メーカー識別番号(製造番号、シリアルナンバーなど)
  • 製品スペック(製品名、型番など)
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ソフトウェア

システムの内部を構成するソフトウェアについても管理が必要です。ソフトウェアに関しては、その名称だけでなく、バージョンやセキュリティパッチの適応状況を管理することが重要です。ソフトウェアごとに管理番号を設け、その上でリビジョン(バージョン)管理を行い、ソフトウェアごとのバージョンやパッチ適用状況を管理する方法が一般的です。

<具体例>

  • ソフトウェア名
  • ソフトウェア管理番号
  • バージョン/リビジョン
  • 適用済みのセキュリティパッチ

ネットワーク

構成される各CI単体のみでなく、CI同士の繋がりを示すネットワークについても管理します。このネットワーク管理では、各CIがどのように接続されているかを把握し、ネットワーク全体の構成を明確にすることが求められます。ネットワーク情報には、ネットワークに接続される機器情報や回線名、回線速度などの情報が含まれます。これらの情報を図表などで視覚的に表現すると、複雑なネットワークの管理が容易になります。

<具体例>

  • ネットワーク全体の構成
  • 接続機器の詳細情報
  • 回線情報(回線名、回線速度など)

ベンダー

障害発生時など緊急時に迅速に問い合わせるためにはベンダー情報の管理も重要です。システム提供元である各ベンダーに関わる情報、各ベンダーの名称、それぞれの担当部門、担当者名などを管理することが一般的です。特に複数のベンダーが関わっている場合は、責任範囲と連絡先一覧を明確にしておくことが大切です。

<具体例>

  • ベンダー名
  • 担当部門、担当者名
  • ベンダー一覧(複数社が絡む場合)

ライセンス・契約

システムに関連する契約情報も、構成管理で管理する項目の一つです。契約書に含まれる管理番号、契約日、有効期限などの情報を管理することで、システムのアップデートなどを最適な形で検討することができます。

<具体例>

  • 契約情報(管理番号や契約日、契約期限など)

構成管理の方法

構成管理は、構成管理は単体として行われることは少なく、他のシステム管理ツールと組み合わされて行われることが一般的です。これにより、より効率的で一元化されたシステムの状態把握が可能になります。ここではその組み合わせのうち、一般的な管理方法を2つ解説します。

IT資産管理ツールを活用するパターン

IT資産管理ツールでは、社内におけるすべてのハードウェアやソフトウェアの情報を一元的に管理するツールです。これらは構成管理の対象として管理すべきCIでもあるため、IT資産管理ツールを活用して一元管理することで、構成管理の効率が大幅に向上します。

統合運用管理ツールを活用するパターン

統合運用管理ツールは、ネットワークやサーバーなどの性能監視、アプリケーションの状態監視といった社内のITシステムの全体的な状況を一括で把握するためのツールです。統合運用管理ツールで監視対象としているハードウェアやソフトウェアが、構成管理で管理すべきCIと重複していることが多いため、一元管理によって効率化が望めます。

構成管理をするならJira Service Management

構成管理をするならJira Service Management

構成管理は、日々様々な変更が繰り返されるITサービスを迅速かつ安定的に提供するためには必要不可欠です。

しかしながら、自社にある多くの“ITサービスを構成するアイテム”を管理を管理するのは一筋縄ではいきません。この難しい業務を正確かつ効率的に実施するためには、構成管理とIT資産管理を合わせて実施できるツール『Jira Service Management』の導入がおすすめです。

このツールを用いることで、構成管理とIT資産管理をスムーズに統合し、ITに関する資産管理業務を一つのプラットフォームで行うことができます。また、国際規格ITIL4に準拠したツールですので、高度な品質管理基準を満たした構成管理を実施することができます。

リックソフト社では、『Jira Service Management』の導入事例が多数あり、各社の状況に応じ導入から運用まで一貫したサポートが可能です。自社の構成管理に悩まれている方はお気軽にご相談ください。

Jira Service Managementを活用し、より確実かつ効率的な構成管理を実現しましょう!

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