2024.01.19更新日:2026.03.06
ITサポートとは、単なるPC操作の補助やシステムトラブルの解決に留まるものではありません。現代のビジネスにおいて、企業のITインフラ全体を安定的かつ最適に運用し、従業員の業務効率化や組織全体の生産性向上を支える「戦略的な中核機能」と定義されます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、ITサポートの重要性はかつてないほど高まっています。テクノロジーを最大限に引き出すための「伴走者」としての価値は、企業の競争力に直結します。将来的には、AIや自動化技術を駆使した「予測型サポート」へと進化し、トラブルを未然に防ぐ役割が主流となるでしょう。
ITインフラを単なるコストセンターとしてではなく、価値を生み出す資産として機能させるために。まずは現在のサポート体制を見直し、標準化とツール活用による最適化へ踏み出すことが、次なる成長への確かな一歩となります。
ITサポートは事務に近い業務であるイメージもありますが、実際は社内システムが円滑に稼働するための様々な役割を担っています。そのため、業務内容は多岐にわたります。また、セキュリティやアカウント管理といったITに関する高度な専門性も求められます。導入済のITツールの数が増えるほど、難易度も上がります。
ここではITサポートの4つの業務内容について解説します。
1つ目の主な業務内容は、自社製品のユーザーや社内システムの利用者など、社内外からの問い合わせへの対応です。
問い合わせ内容は製品の使用方法に関するものから、技術的な問題に関するものまで多岐に渡ります。
また製品やシステムがアップデートされるたびに新しい問い合わせも生じることから、過去の事例も踏まえつつ、広範囲なスキル・知見を継続的に習得していくことが求められます。また、問い合わせ対応は利用者の利便性や満足度を直接左右するため、話の内容を上手に聞き出すヒアリング力や問題の解決に向けた対話スキルも求められます。
2つ目の主な業務内容は、社内で導入されているITシステムの定期的な保守・運用です。具体的にはサーバーやクラウドの管理、システム情報(ユーザー情報・ライセンス・ソフトウェア製品の期限)の更新やアップグレードが含まれます。社内でライセンス切れ・商用利用不可のライセンスを使っていた、ということが起きないようにも、社員のITリテラシー向上やライセンスについて周知する関する業務も併せて行う必要があります。
ビジネスで利用しているシステムの設定等を修正・更新することから、ITスキルを持った人材が慎重かつ迅速に対応することが求められます。
3つ目の主な業務内容は、システムの障害発生時における各種対応です。
具体的には、システムや機器が故障した場合の復旧作業の主導・実行や、業務停止などビジネスへの影響を最小限に抑えるための代替策の案内等があります。
これらの対応は自社だけで完結するものではありません。時にはメーカーや修理業者への依頼、システム利用者との業務調整など、多様な関係者とコミュニケーションをとる必要があります。そのうえで、迅速な復旧対応を主導する力が求められます。
また、災害リカバリプランの作成やテストといった、システム障害が起きたときに備える準備についても、障害発生時の対応の円滑化・影響の局所化という観点で重要な業務です。
とくに近年、日本企業へのランサムウェア攻撃が激化しています。万が一、攻撃者に身代金を支 払っても、 日本企業の場合、データの完全復旧率は極めて低いという実態があります。 (参照:世界屈指の「ランサムウェアに金を払わない国」なはずの日本にサイバー攻撃が増えている理由【上原哲太郎&増田幸美】 | レバテックラボ(レバテックLAB) )
攻撃ツールが欧米のシングルバイト環境を前提としているため、日本語特有の2バイト言語(複雑な漢字やエンコード)が混在する日本のシステムでは、復号プロセスでデータが破損し、鍵を得ても元通りにならないリスクが非常に高いのです。したがって、多世代バックアップの保持や、感染を前提とした迅速な初期対応フローの構築こそが、運用の継続性を守る真の鍵となります。
4つ目の主な業務内容は、自社が持つIT資産の管理およびそのIT資産の構成管理です。
IT資産管理とは、企業活動を行う上で利用するIT機器やOS、ソフトウェアなど、ハードウェア・ソフトウェアを問わずIT関連の資産を管理することを指します。例えば、雇用や退職に伴うアカウントや社員に貸与するPCの管理などがあります。自社で保有するIT資産を正しく把握・管理することは、セキュリティ対策からコンプライアンス準拠までの幅広いビジネス要求を満たす上で不可欠です。
一方で、IT構成管理とはITシステムを滞りなく提供し続けるために、IT資産をシステム構成の観点から管理することです。IT資産がどのようなハードウェアやソフトウェアから構成されているかを正しく把握・管理することで、システムの安定した稼働や、IT投資計画の最適化に繋げることができます。
これらの活動を通じ、ITサポートは企業がシステムやソフトウェアを最大限に活用できるようサポートする役割を果たしています。
社内にITサポートを置くメリットは、単なる「トラブル対応」を超えた多角的な価値にあります。主な利点は、業務停滞を防ぐ「生産性向上」、組織の知恵を守る「知識の蓄積」、防御力を高める「セキュリティ強化」、そして全体の底上げとなる「ITリテラシー向上」の4点です。ある導入企業では、内部サポートの最適化により、トラブル解決までの待ち時間を50%削減し、年間数千時間の工数創出に成功しています。
ITトラブルによるダウンタイムを最小化し、従業員が本来の業務に集中できる環境を整えます。迅速な一次回答と復旧体制により、対応時間を30%〜40%短縮。これが結果として組織全体の生産性を5%〜10%向上させる直接的な要因となります。
最近ではAIチャットボットを窓口に置くことで、よくある質問(FAQ)への回答を完全自動化する事例が増えています。AIがナレッジベースから最適な回答を瞬時に提示するため、ユーザーの待ち時間をゼロにしつつ、担当者の負担を劇的に軽減できます。
過去のトラブル事例や解決策を「ナレッジベース」として集約します。FAQやデータベースを構築し社内に公開することで、同様の問題が発生した際の自己解決を促し、サポートチームへの重複した問い合わせを大幅に削減することが可能です。
最近は生成AIの台頭で、蓄積された過去の対応履歴をAIが解析し、新しいナレッジ(FAQ記事)のドラフトを作る機能も期待されています。属人化しがちな知恵を組織全体の資産として容易に循環させることが可能になります。
社内基準に則った一貫したポリシーの運用や、脆弱性への迅速なパッチ適用を実現します。定期的な監査と予防策の実施により、情報漏えいリスクを低減させます。万が一のインシデント発生 時も、内部事情に精通したチームが即座に被害を最小化します。
日常的なサポートを通じた直接指導や、分かりやすいマニュアル整備が従業員のスキルを底上げします。定期的な教育機会を設けることで、社員一人ひとりの自己解決能力が強化され、組織全体のデジタル活用能力が向上します。
初期段階では、既存のメールや電話、Excel管理など「今ある手段」で運用を始めがちです。
ITIL®v4でも既存資産の活用は推奨されますが、場当たり的な手段に頼り続けると、情報のブラックボックス化を招きます。
ツールによる基盤整備を後回しにしたまま、物理的な体制だけを整えようとすると、次のような深刻な課題に直面することになります。
1つ目は、ITサポートが実施出来るようなIT人材の確保が難しいという点です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の統計調査「DX動向2025」によると、日本の企業の8割近くが『IT人材が大幅に不足してる』、『やや不足している』といった回答をしています。
ITサポートを実施するにはITに対する一定の専門性が必要ですが、そのような人材を自社で育成するには一定の時間とコストがかかります。また、そもそも社内にITに対する素養・適性を持った人がいないといったケースも想定されます。
社内ではなく社外に目を向けた場合でも、IT人材に対するビジネス上のニーズは日に日に増しています。外部から優良なIT人材を採用したり、社内のITサポート業務をまるごと外注するケースもありますが、大きなコストがかかる上、社内のIT人材が育成されません。
そのため極力、自動化や効率化を進めてITサポート業務のボリュームを抑えつつ、計画的に人材育成・獲得を検討するのがよいでしょう。
(参考:IPA 独立行政法人情報処理推進機構:DX動向2025 )
仮にIT人材が社内にいた場合でも、冒頭で述べたよう、そのような人材は別の業務に携わっているケースも多いでしょう。その場合、その人材に対してITサポート業務のみではなく他業務との兼任を求めることになり、その社員に対する業務負担が増加する可能性があります。
ITサポート業務については冒頭でも述べたように企業活動にとって非常に重要な意味を持ち、多くの場合24時間体制で正確かつ迅速な対応を求められる、非常に繊細でハードな業務です。
そのため、ITサポート業務は原則他の業務との兼務は推奨されません。また、別業務と兼務をしていることで、ITサポート対応が遅くなったり、システム障害時に業務継続できなくなるといったより重大な問題を引き起こす可能性も生まれてしまいます。
過度な負担は、ミスの誘発やサービスの質低下に留まらず、貴重な人材の離職や組織的な業務停滞を招く恐れがあります。これを防ぐには、専任組織への体制強化や、業務範囲の明確な切り分けが重要です。自社で賄いきれない領域は外部委託を賢く活用し、担当者が本来のパフォーマンスを発揮できる環境を維持することが、長期的には組織の安定に繋がります。
これらを防ぐため、ITサポートは独立し、業務量を踏まえて複数人で実行する体制を検討するのがよいでしょう。
ITサポート業務を運用するには、ハードウェア以外にも、サポートに必要なソフトウェアやそれを使うネットワークといった設備投資が必要です。
また、ITサポート業務に必要な知識やスキルを習得・維持するために、ITサポート業務を行う社員に対して研修を継続的に受講させたり、資格取得支援制度を整えるといった人材育成コストも発生します。このため、ITサポート業務を運営するコストがかさむことも見込まれます。
コスト増加を放置すれば、予算を圧迫するだけでなく、最終的には品質低下や現場の疲弊による離職リスクを高めます。場当たり的な投資を避け、まずは業務プロセスの徹底的な効率化を図るべきです。特に高度な専門知識を要する領域や、夜間対応などの高コストな部分は、信頼できる外部委託先へ切り出すことで、全体的な運営コストの最適化とサービス維持を両立できます。
このコストを抑制するためには、予算及び想定されるコストを適切に計画・管理しつつ、人材育成については、かかる期間・コストを踏まえて時には外注するといった選択肢を検討することも一案です。
これまで「あの事務所で一番ITに詳しい人が対応してきた」「これについては、XXさんが詳しい」といったように、問い合わせ先がサイロ化されていた組織でITサポートチームを編成する場合があります。その場合、問い合わせをする人はそれぞれ慣れた方法で連絡するため、問い合わせ方法がバラバラになりがちです。
ITサポートチームが2人以下の場合、「誰からきた問い合わせを、いつ回答したか」という確認は容易ですが、3人以上となった場合要注意です。「誰が、いつ、どの部署の誰から受けた問い合わせがあるか。それは解決済か」といった問い合わせの進捗状況が見えづらくなります。
サポートチーム内での情報共有が必須になります。情報の分断は、二重対応や放置といったミスを誘発し、組織の信頼を損ないます。解決には、あらゆるチャネルからの連絡を統合する「窓口 の一元化」と、ステータスを可視化する進捗管理が不可欠です。問い合わせ管理ツールの導入 や、標準化された受付プロセスを持つ外部サービスの検討により、誰がいつ何をしているかを即座に把握できる体制を整えることが、運用の健全化への近道です。
ITサポートは、現代のIT化が進む社会においてビジネスを進めるうえでは欠かせない重要な業務です。ただ、業務範囲も多岐にわたり、一定のスキルを持った要員も必要なことから、社内でITサポート業務を上手く実施していくためには業務効率化が欠かせません。
この効率化に向けておすすめしたいのが、インシデント対応、サービスリクエスト、問い合わせなどを一元管理できるツールである「Service Collection(サービスコレクション)」です。
Service Collection | 顧客接点と従業員サービスのデリバリーを統合、サービスリクエストの受付から解決までを一元管理するAIエージェント搭載ITSMツール
このツールはITサービス管理のベストプラクティスを集約したガイドラインであるITIL(Information Technology Infrastructure Library)に準拠しており、ユーザーフレンドリーなインターフェースと強力なカスタマイズ機能により高水準のヘルプデスク/インシデント管理を可能にします。
クラウド基盤で動いているツールで、高度なAI機能が搭載されており、問い合わせ内容の要約や、回答案の自動作成、類似チケットの自動分類などが可能です。すでにJiraを利用している企業は、プロジェクトの進行状況やチームの作業負荷を把握しているため、Service Collectionの導入によってさらなる生産性向上が期待できます。
また、Jiraのカスタマイズ性とService Collectionの柔軟なサービス設計が組み合わさることで、企業のニーズに合わせた最適なソリューションを提供できる点も大きなメリットです。既存のワークフローにスムーズに統合できるため、導入後の学習コストも抑えられます。
さらに、Jiraのデータ分析機能を活用することで、Service Collectionはサービスの改善点を明確にし、継続的なサービス向上に繋げることが可能です。このように、Jiraをすでに利用している企業にとって、Service Collectionは非常に相性が良いと言えます。
Jiraと連携するAIエージェントを活用することで、ITサポートは『受け身の対応』から、データに基づいた『攻めの運用』へと進化します。
リックソフトではService Collection(Jira Service ManagementおよびAssets)の導入事例が非 常に豊富であり、ヘルプデスクをはじめとして、導入から運用までを手厚くサポートする体制も備わっています。
ITサポート業務の高度化・効率化をご検討の場合は、是非お気軽にご相談ください。