マツダ株式会社様|導入事例

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Cadre / Jira Software / Confluence 導入事例
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マツダ株式会社様

複雑化が進む自動車の開発プロジェクトを支えるアトラシアン製品群
データ連携ツールの併用でデータの可視化も実現


マツダ株式会社


マツダ株式会社様 マツダ株式会社は、言わずと知れた日本を代表する自動車メーカーである。生産台数の8割を海外に輸出しており、特に欧米で大きな支持を得ている。そんな同社において、ITによる業務改革および業務設計を推進するとともに、社内システムの企画と導入を担当するのがMDI&IT本部である。業務効率化の施策の一環として、MDI&IT本部主導のもとアトラシアン製品の導入が進めたことで、意思疎通の迅速化によるプロジェクト進行の効率化を実現し、次のフェーズとしてリックソフトが新たにリリースしたデータ連携ツール「Cadre」によるデータ可視化などにも取り組んでいる。ここでは、アトラシアン製品導入の中心となったメンバーに、その意図や得られた成果などについて話を聞いた。

広島県に本拠地を置く、1920年創立の自動車製造業。同社の代名詞とも言える「ロータリーエンジン」では他の自動車メーカーの追随を許さず、同エンジンを採用した「RX-7」「RX-8」は数多くの自動車ファンに大きく支持されている。近年では、「2050年までにサプライチェーン全体でカーボンニュートラルに挑戦」「電動化戦略により2030年時点のBEV想定比率25~40%」「人とITの共創による独自の価値創造により、高度運転支援技術の開発を継続し、自動車技術で対策が可能なものについては2040年を目処に、自社の新車が原因となる死亡事故ゼロを目指す」「原価低減とサプライチェーンの強靱化」などを掲げています。また中期経営計画の目標達成に向けて、幅広いパートナーと協業を進めるととも地球環境問題や社会問題の解決にも注力している。

(取材対象者)
左:マツダ株式会社 MDI&IT本部 エンジニアリングシステム部 主幹エンジニア 茨木 浩司氏
右:マツダ株式会社 MDI&IT本部 エンジニアリングシステム部 池松 一聡氏

マツダ株式会社

MAZDA ROADSTER

背景・課題

ソフトウェア依存が高まるとともに
製造プロセスが複雑化
自動車製造における課題が浮き彫りに

創立以来、数多くの自動車を世に送り出してきたマツダ。グローバルリーダーとして自動車製造を牽引する同社は、2022年11月22日、中期経営計画をアップデートするとともに2030年に向けた経営方針を掲出。「ひと中心」の思想のもと、人を研究し続け、心も身体も活性化される「ものづくり」「つながりづくり」「ひとづくり」を実行することを基本方針に、共創・共生による「人と共に創る」社会の実現を目指している。

プロセスを深化させたいという考えのもと、時間・空間を超えたコミュニケーションの実現に取り組むことになりました

そんなマツダの開発プロセスでは、コンピューターおよびソフトウェアによる制御が欠かせなくなっている。同社 MDI&IT本部 エンジニアリングシステム部 主幹エンジニアの茨木 浩司氏は、マツダにおける開発プロセスの変遷について次のように説明する。

「クルマは典型的な“擦り合わせ型製品”と言われています。開発がハードウェア中心の頃は目に見える機能で実現されていましたが、ソフトウェア依存が進むことによって、上手くいくパターンのプロセスを探し出して実行するというやり方に変化せざるを得ません。しかもそのプロセスの作り込みには終わりがありません。そのプロセスを深化させたいという考えのもと、時間・空間を超えたコミュニケーションの実現に取り組むことになりました」(茨木氏)

従来、取引先との協業では、依頼する際に思い違いや大きなズレは多くなかった。しかし、ソフトウェア依存が進むほどに自動車づくりにおける機能要求は複雑化しており、マツダ自身も協業先へ依頼する事項すべてを明確化できず、協業先に正確に伝達できない事態が増えていった。また、協業先とのやり取りは主にメールで行われているほか、Excelによるリスト管理など、アナログな方法で行われているのも課題であった。

導入プロセス

カスタマイズの柔軟性などに加え、リックソフトのサポート力、技術力を評価し、
アトラシアン製品を導入

これらの課題の解決策としてマツダでは、プロジェクトマネジメント支援をキーワードに、グローバルに安定して利用できる製品の調査を開始。その中でアトラシアン製品の存在を知り、さまざまな観点から製品を評価し、最終的に本格導入に至った。

「製品の採用実績や安定性、セキュリティの高さやカスタマイズ性の良さ、運用保守の容易さや導入ハードルの低さ、トータルコストなどの点を評価し、ConfluenceおよびJira Softwareの導入を決定しました。また、製品検討の際、リックソフトの方で丁寧にデモを実施してくれたことで、製品の使い方のイメージが確固たるものになりました。社内からアトラシアン製品についてのサポート力の高さに期待が寄せられたこともあり、日本におけるサポートの手厚さやベンダーとしての信頼性・技術力なども加味し、リックソフトに依頼することにしました」(茨木氏)

そして2016年9月から、スモールスタートの形でConfluenceおよびJira Softwareの導入を開始し、PoC(概念実証)を実施。効果を確認できたことから、ConfluenceおよびJira Softwareの本番適用を決定した。それ以降は、大規模かつ適用までの期間が短いなど特殊なプロジェクトでない限り、標準的な立ち上げプロジェクトにおいて導入されることとなった。

基本的には、プロジェクト立ち上げ時に茨木氏のチームに導入についてのリクエストがあり、それを受けてシステム構築が行われ、引き渡すというプロセスが取られた。社内に一斉に導入するのではなく、プロジェクト単位で必要に応じてアカウントが振られることになり、徐々に利用者が増えていく格好となった。現在の適用領域は大きく分けて2つあり、車両ソフトウェア開発と大規模ITプロジェクトにて適用されている。また、コネクティッドサービスの内部コミュニケーションでも使われていて、24時間365日の稼働を果たしている。

導入効果

効率的なプロジェクトの進行に寄与
本業である開発にリソースを回せるように

ConfluenceおよびJira Softwareをはじめとするアトラシアン製品の導入により、プロセスのチケット化と情報共有が促進され、意思決定の迅速化を実現。これまで散在していたプロセス・データが一元化され、簡単に可視化できるようになり、ムダな仕事が減ったことで、開発に集中できる環境を構築できた。

「最初にアトラシアン製品を適用したプロジェクトのメンバーからは、『アトラシアン製品がなかったら成功しなかった』という、うれしい声をいただきました。その成功の後押しもあり、難しいプロジェクトであればあるほど利用の相談が寄せられるようになりました」(茨木氏)

難しいプロジェクトであればあるほど利用の相談が寄せられるようになりました

アトラシアン製品の活用に伴い顕在化したデータ連携の課題
その中で誕生した「Cadre」

こうしてアトラシアン製品を長期間にわたり利用してきたマツダであったが、運用をしていく中である課題が見えてきた。それはデータ分析とその可視化だ。

Jira Softwareの導入により、各プロジェクトにおけるプロセスがデータ化されることとなった。これらを可視化することにより“気付き”を得ることで、プロセスの分析が進むと考えたのだった。

「これまで当社では、データ分析ツールとしてすでにTableauを利用していました。主にアトラシアン製品によって得られたプロセスのデータを分析する目的で利用し、利用状況分析やJira課題チケットの時系列の完了状況などを可視化しています」(茨木氏)

ただ当初は、分析するためのデータの準備、加工に手間がかかっていた。そこでJira SoftwareとTableauを連携させるため、ETLツール(データの抽出・変換、書き出しを担うツール)をスクラッチで開発したものの、項目を1つ追加するにあたっても変更が必要になってしまうなど、根本的な解決に至らなかった。

そこで2020年初め頃、リックソフトへ相談し、Jira SoftwareとTableauをシームレスに連携させるツールとして、当時市場にリリース前だった「Atlassian Connector」と仮称するツールの提案を受けた。

「当時は製品リリース時期が未定だったということもあり、プロトタイプでの提案でしたが、Jira SoftwareとTableauをシームレスに連携させるという製品コンセプトが、まさに当社が求めていた要件に適合していました。また、大枠の機能は決まっていたものの、細かい機能についてはまだ定まっていない部分もありましたので、例えば、EVM(プロジェクトの進捗をコストして管理する手法)などの定型的な出力パターンを標準機能として搭載するよう開発を依頼するなど、当社からデータ連携にあたり必要となる機能の要望を出すこともありました」(茨木氏)

これらの意見を取り入れ、製品化されたのが「Cadre」だった。製品名のネーミングは茨木氏によるもので、マツダとリックソフトとの深い関係性から生まれた製品であることがわかる。

データ加工作業の手間から解放され
全社的なデータ活用が促進

Cadreの導入は、マツダの「コネクティッドサービス」の開発におけるJira Software運用にて、チケットの依存関係を確認するのに役立っているという。

「機能追加などにおいて複数のチケットを1つのリリースに含めますが、各プロジェクトによって組み合わせが違うなど複雑だったため、Cadreを適用するまでは担当者が1日がかりで作業していました。しかし、Cadreを導入後は、ロジックを適用してTableauで可視化することで、その業務がなくなりました」(茨木氏)

茨木氏と同じくプロジェクトに参加しているMDI&IT本部 エンジニアリングシステム部の池松 一聡氏は、Cadreについて次のように評価する。

「Cadreの導入によってJira Softwareのデータが真の意味で簡単に取れるようになりました。例えば、標準化されたITEMにより、汎用性の高いデータが準備できます。さらにConfluenceの非定型データを、データソースとして利用できます。そして従来使っていたETLツールの開発が不要になりました。また、データを気軽に可視化ができるようになり、現場担当者レベルでは見ることができなかったデータも共有できるようになりました」(池松氏)

Cadreによるデータ可視化の有用性が社内でも知れ渡った結果、特に大規模、多拠点かつ難易度の高いプロジェクトからの引き合いが増加。現在では、アトラシアン製品群とともにCadreのさらなる活用にも期待が高まっている。

現場担当者レベルでは見ることができなかったデータも共有できるようになりました

今後の予定

リックソフトと良好な関係性を築きつつ
アトラシアン製品の利用範囲を拡大させる

マツダでは、今後もアトラシアン製品を業務に利用していくとともに、さらなる利用拡大を検討している。

例えば、マツダが採用しているTOC(作業効率を改善させる手法)において、ツールの1つとして活用されている「WIPボード(カンバン)」のさらなる高度化を目指している。その運用においてJira Softwareを活用し、チーム横断でのWIPボードを作ることで、すぐにマネジメントを支援できるようにする予定だ。

またConfluenceについては、テキストマイニングと組み合わせてナレッジの分析基盤の中核として活用していき、レガシー・システムの削減を目指すとのこと。Cadreについては、現状の活用は限定的な部分があるものの、今後は社内全域で活用の幅を広げていくとしている。

長きにわたるアトラシアン製品の導入プロジェクトについて、池松氏は今後の期待を込め、次のように総評する。

技術面でも我々の課題に対して迅速かつ適切な回答を寄せてくれるため、信頼度は高いです。

「リックソフトには何度も足を運んでいただき、我々の要望を直接話すことで良い関係が築けました。サービスデスクのスタッフと会う機会もあり、顔の見えるサポートには大きな安心感がありました。また、技術面でも我々の課題に対して迅速かつ適切な回答を寄せてくれるため、信頼度は高いです。さらに、アトラシアン製品の導入の際に、当社の本部長向けにリックソフトの担当から何度もプレゼンしていただいたり、第三者視点から、最適な提案、セールスを行ってくれたりと、技術力だけでなく、コミュニケーション能力も高く評価しています。今後ともサポートと技術の提供を継続していただき、良きパートナーとしてソリューション提案を期待しています」(池松氏)

本事例の内容は2022年11月取材時のものです。
本事例に記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。

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